せっかく自宅やオフィスに迎えた観葉植物、気づけば元気がない…そんな経験は誰にでもあります。
でも大丈夫。観葉植物の生育は「置き場所(光)/水やり/温度/風」の4要素を押さえれば驚くほど安定します。
本記事では専門家視点で「まず守るべきルール」と「つまずきやすいポイントの回避法」を、判断基準があいまいにならないよう数値・手順・チェックリストで具体化しました。オフィス運用用の水やり当番テンプレもあります。
観葉植物とは?初心者が知っておくべき基礎知識
観葉植物とは、葉の観賞を目的とした植物全般のことを指します。花を楽しむ草花と比べると、色の変化や華やかさは少ないものの、枯れるまで緑の葉を茂らせ、部屋に飾ると落ち着いた雰囲気を作り出してくれます。
観葉植物の特徴
- 多くが熱帯・亜熱帯原産:温かい地域が原産地のため、乾燥に強く水やり頻度が少ない
- 多年生植物:数年にわたって生長し、長いものは10年以上も育つ
- 室内栽培に適している:耐陰性を持つ品種が多く、室内でも育てられる
- インテリア性が高い:空間に緑を取り入れ、癒しの効果をもたらす
なぜ観葉植物は「育てやすい」と言われるのか
熱帯原産の特性から、乾燥に強く枯れにくいため「手間がかからない」と人気が出ています。ただし、基本の4要素を押さえないと失敗しやすいのも事実です。本記事では、その基本を徹底的に解説します。
【初級編】観葉植物が元気に育つ4つのポイント
1.日当たり条件(明るさの見極め方と配置のコツ)
観葉植物は「明るさ」が合っていれば8割はうまくいきます。
明るさは次の4段階で考えます(ざっくりの照度目安付き)。
①日当たりの良い場所:直射〜強い散乱光(20,000lx前後)
多くの観葉はここで旺盛に生長。ただし夏の直射は葉焼けに注意。レースカーテンで拡散を。
適した品種例:ユッカ、ドラセナ・コンシンネ、コルジリネ、オリヅルラン
②明るい日陰:カーテン越し・窓辺1〜2m(3,000〜10,000lx)
室内栽培の最適地。初心者はまずここを狙う。
リビングのカーテン越しの窓辺や、窓から1〜2メートル離れたキッチンなどが該当します。多くの観葉植物はこの環境で元気に育ちます。
適した品種例:ポトス、モンステラ、パキラ、フィカス・ベンガレンシス、シェフレラ(カポック)
③日陰(蛍光灯中心):玄関・廊下(500〜1,500lx)
耐陰性の高い品種限定。週1回は②へ数時間の「日光浴」を。
窓のない部屋や玄関などが該当します。常にこの環境だと徐々に弱るため、定期的に明るい場所へ移動させましょう。
適した品種例:サンスベリア、ザミオクルカス、アグラオネマ、テーブルヤシ
④暗い日陰(白熱灯のみ):常時は不可
どうしても置くなら週3〜4日、各5時間以上②へ避難。または植物育成ライトの導入を検討してください。
日当たりのコツ(光の当て方)
- 東向き・北向き窓:安定した光が得られる。初心者におすすめ
- 南向き・西向き窓:夏は遮光が必須。レースカーテン活用
- 直射日光の注意点:真夏の直射日光や西日は強すぎて葉焼けの原因に
光不足のサイン
- 新葉が小型化する
- 節間が間延びする(徒長)
- 葉色が浅い・薄い緑になる
- 葉の斑が消える
人工照明を使う場合
植物育成ライトを30〜60cm上方から12時間/日目安で照射。一般的なLED電球では光の波長が不足するため、専用ライトを使用してください。
2.水やりの方法(乾きの判断3法+季節頻度の目安)
基本は「土が乾いたら、鉢底から流れるまで。受け皿の水は捨てる」。
観葉植物を枯らす最大の原因は**「水のやりすぎ」**です。「毎日水をあげれば元気に育つ」という思い込みは捨てましょう。
なぜ水やりが重要なのか?
植物は人間と同じく栄養が必要で、水・二酸化炭素・日光を使った光合成で栄養を作り出し、雨などで土に染み出した栄養素を根から吸収します。水は栄養摂取に欠かせない要素です。
しかし、土が常に湿っていると根が呼吸できず、根腐れを起こして枯れてしまいます。メリハリが重要です。
“乾いた”の判断を曖昧にしないため、3つの実践法を併用
法1:重さで判定
潅水直後の鉢と乾いた鉢の重さメモを作る。持ち上げて軽ければ水やりのタイミング。
法2:指・割り箸法
指の第二関節まで差し、冷湿感がなければOK。割り箸を挿して色の変化でも可。
法3:土壌水分計
目盛りで乾燥域に入ったら。初心者の失敗防止に強力。数百円から購入可能。
季節と鉢・用土で変わる頻度目安(一般的な葉物観葉)
季節頻度目安時間帯ポイント春・秋3〜7日に1回午前中生育期で水の吸い上げが活発夏2〜4日に1回朝〜9時/18時以降昼間の水やりは土中の温度が上がり根を傷める冬7〜14日に1回午前中乾かし気味に。受け皿の水厳禁
材質と用土による違い
- 素焼き鉢:通気性が高く乾きが早い(頻度↑)
- プラスチック鉢:乾きがゆっくり(頻度↓)
- 保水性の高い用土:過湿リスク↑。サンスベリアや多肉は水控えめ+通気性用土を使用
水やりの時間帯を守る理由
日中の水やりは厳禁:真夏の日中に水をあげると、土の中の温度が高くなり根が蒸れて傷んでしまいます。必ず早朝か夕方以降に行いましょう。
葉水(はみず)でさらに元気に
霧吹きで葉・茎・幹に毎日スプレー。以下の効果があります:
- 病害虫予防(特にハダニ)
- 葉の艶アップ
- 湿度補助(乾燥対策)
- 葉のホコリ除去
本数が多い場合は加圧式スプレーで効率化。
水やりの失敗例と対処法
❌ 失敗例1:毎日少量ずつ水をあげる
→ 土の表面だけ湿り、根まで届かない。根腐れのリスクも。
✅ 正解:土が乾いたらたっぷり鉢底から流れるまで与える。
❌ 失敗例2:受け皿に水を溜めたまま
→ 根が常に水に浸かり、根腐れの原因に。
✅ 正解:受け皿の水は必ず捨てる。
3.温度管理(夏越し・冬越しの具体手順)
観葉植物の多くは熱帯・亜熱帯原産のため、日本の冬は苦手です。
生育適温と限界温度
- 生育適温:15〜28℃(人が快適な温度は植物も快適)
- 生育が鈍化:10℃以下
- ダメージを受ける:5℃以下
- 枯死の危険:0℃以下
冬越しの具体手順
11月〜2月は「休眠期」:多くの観葉植物は生育が緩慢になり、樹液を濃くして寒さから身を守ろうとします。
冬の管理ポイント:
- 最低でも10℃をキープ
- 夜間は窓辺から室内中央へ移動
- 窓とカーテンの間に置かない(外気温に近い)
- 床暖房の直上も根傷みに注意
- 水やりを控えめに
- 休眠期は水を吸う力が弱まる
- 過湿は根腐れを招く
- 頻度を夏の半分〜1/3に減らす
- 湿度を保つ
- エアコン暖房で乾燥しやすい
- 葉水は継続(朝〜昼に行う)
- 加湿器の併用も効果的(50〜60%目安)
- 肥料は与えない
- 休眠期の施肥は根を傷める
- 春まで待つ
夏越しの具体手順
6月〜8月は高温多湿で蒸れやすい
夏の管理ポイント:
- 直射日光を避ける
- レースカーテンで遮光
- 西日は特に強烈なので注意
- 水やりは早朝・夕方に
- 2〜4日に1回
- 昼間の水やりは厳禁
- 風通しを確保
- サーキュレーター常時稼働
- 換気をこまめに
- 葉水を増やす
- 1日2回(朝・夕)
- ハダニ予防に効果的
- 熱帯夜対策
- 夕方に水やりして夜の温度を下げる
- 土の表面温度が高い場合は涼しい場所へ移動
湿度の目安
理想は50〜60%。加湿し過ぎはカビ・ダニを招くので風とセットで管理しましょう。
4.風通し(病害虫・根腐れの最大の予防)
風通しは水やり・日当たりと同じくらい重要です。多くの初心者が見落とすポイントですが、風通しの良し悪しで植物の健康が大きく変わります。
風通しが重要な理由
項目風通しが良い場合風通しが悪い場合土の乾き適度に乾き、根腐れを起こしにくい乾きにくく、根腐れを起こしやすい植物の成長葉や幹がたくましくなる湿気がこもり、弱りやすくなる病気・害虫カビや害虫の発生リスクが少ない湿度が高まり、カビや害虫が発生しやすい
風通しが悪いと、土が乾きにくい→根が常に湿った状態→根腐れという悪循環に陥ります。
また、風の力を浴びることで植物は丈夫に育ちます。自然界では常に風にさらされているため、室内でも風を作ることが重要です。
風通しの確保方法
- サーキュレーターを微風で常時稼働
- 葉がわずかに揺れる程度の弱風
- 直風を避け、部屋全体の空気が回るように設定
- 1日数時間だけでも効果的
- 換気をこまめに
- 1〜2時間ごとに5分換気が理想
- 朝晩の換気を習慣化
- 避けるべき場所
- クローゼット内
- 締切空間(トイレ・浴室など)
- 家具の裏側
風を作る際のポイント
- 直風は避ける:エアコンやサーキュレーターの風が直接当たると、葉が乾燥して傷む
- 「風がそよそよ通る」程度の弱い風量を意識
- 常に風を作る必要はない(1日数時間でOK)
【中級編】よくあるトラブル対処法
5.肥料の正しい与え方と「よくある5つの勘違い」
「観葉植物に肥料は必要ない」と思っている方も多いですが、植物が健全に生育するには栄養=肥料が必要です。
5-1 正しい与え方
肥料の役割
適切に肥料を与えることで:
- 葉色を良くする
- 徒長を防ぐ
- 株を健全に生長させる
- 花を咲かせる(花を楽しむ品種の場合)
肥料の種類
有機質肥料 vs 無機質肥料
種類特徴室内栽培での推奨度有機質肥料動物の糞など自然由来。においが強い❌ 室内には不向き(においとコバエのリスク)無機質肥料(化成肥料)化学的に作られたもの。においが少ない✅ 室内栽培に適している
形状による使い分け
形状特徴使用方法タイミング緩効性化成肥料(置き肥)じわじわと効く。固形タイプ株元を避け、鉢の縁に沿わせて置く5〜10月に2か月に1回液体肥料(速効性)すぐに効く。水で希釈水やり代わりに与える生育旺盛期に月1回
目的別の選び方
全体の健長を促す:N-P-Kがバランス良い(例:8-8-8等)
花を楽しむ:P(リン酸)高め(例:6-10-6)
与える時期
5〜9月が基本(生育期)
真夏(7〜8月)は控えめ:高温で生育が鈍る品種もあるため
NGタイミング
- 11〜4月は基本休止(低温期は吸わずに根傷み)
- 植え替え直後2週間は与えない(根が傷んでいるため)
- 株が弱っているときは与えない(まず環境を是正)
5-2 よくある勘違い(要点再整理)
❌ 勘違い1:効かせたくて多肥
→ 根を傷める。「肥料焼け」を起こし、葉先が茶色くなったり枯れたりする。
✅ 正解:規定量を守る。迷ったら薄めに。
❌ 勘違い2:弱った株にいきなり肥料
→ とどめを刺すことに。まず環境を是正(光・水・温度・風)。
✅ 正解:元気な株の生育期のみ与える。
❌ 勘違い3:液肥を混ぜる・農薬と混用
→ 化学反応で危険。効果が失われることも。
✅ 正解:単独で使用。混ぜない。
❌ 勘違い4:多肉・サボテンにも肥料
→ 基本少肥。与えすぎると徒長や根腐れの原因に。
✅ 正解:控えめ、または無施肥でも育つ。
❌ 勘違い5:植え替え直後の追肥
→ 根が傷んでいる状態で肥料を与えると枯れる。
✅ 正解:回復を待ち、2週間後から。
プロの小ワザ
回復させたいが根に負担をかけたくない時は、規定より薄い液肥で葉面散布(葉水として)。葉から直接栄養を吸収させることができます。
6.植え替えが成功する3つのポイント
観葉植物は購入後も定期的に植え替えが必要です。葉や茎が成長するように、根も伸びていきます。
なぜ植え替えが必要なのか?
根詰まりのリスク:植え替えをしないと鉢の内部で根が詰まっていき、適切に呼吸できなくなります。
根詰まりのサイン:
- 鉢底から根が飛び出している
- 水をあげても吸い込みが悪い(土がなかなか湿らない)
- 水やり後、受け皿にすぐ水が流れ出る(土に保水力がない)
- 土が乾くスピードが異常に早い
- 葉の成長が止まった
- 下葉が黄色くなる
ポイント1:時期を守る
5月中旬〜9月中旬(温暖期)が最適。この時期を外すと失敗率が大幅に上がります。
理由:生育期であれば根の回復が早く、ダメージを最小限に抑えられる。
ポイント2:適切な土を選ぶ
初心者は市販の観葉植物用培養土でOK。すでに肥料が配合されており、pH調整もされています。
品種別の土選び:
- 一般的な観葉:観葉植物用培養土
- 乾燥を好む品種(サンスベリア、多肉等):通気性・排水性の高い土(赤玉土+腐葉土+パーライト等)
- 湿気を好む品種(シダ類等):保水性の高い土
ポイント3:鉢のサイズは「ひと回り大きく」
現在より+3cm(1号大きく)が基本。
❌ 大きすぎる鉢はNG:土の量が増えすぎて過湿になり、根腐れを引き起こす。
✅ ちょうど良いサイズ:根がギリギリ収まる程度。
植え替えの手順(成功のキモ)
- 鉢から抜く:鉢を逆さにして軽く叩き、株を取り出す
- 根鉢を1/3だけほぐす:古い土を落とす。全部落とすと根が傷む
- 黒変根は剪定:腐った根(黒・茶色でブヨブヨ)は清潔なハサミで切除
- 新しい鉢に植える:鉢底ネット→鉢底石→土を少量→株を置く→周りに土を入れる
- 割り箸で土を突く:鉢縁に沿って割り箸で突き、土の隙間を減らす(根と土を密着させる)
- 水しろを残す:鉢の縁から2〜3cm下まで土を入れる(水やりのスペース)
- たっぷり水やり:鉢底から流れるまで
植え替え後の養生(超重要)
最初の1週間が勝負:
- 明るい日陰に置く(直射日光は避ける)
- 無施肥(肥料は2週間与えない)
- 葉水を多めに(根が水を吸えないため、葉からも水分補給)
- 水やりは控えめ(根が傷んでいるため、過湿に注意)
1週間後、問題なければ元の定位置へ戻してOK。
植え替えが不要な場合
鉢を大きくしたくない場合:根を1/3〜半分カットして元の鉢に植え替える。その際は枝も剪定してバランスを整える。
7.観葉植物に発生する害虫トップ3の対処と予防
室内でも害虫は発生します。早期発見・早期対処が被害を最小限に抑える鍵です。
安全上の注意
薬剤使用時は表示に従い、換気・手袋・養生を。室内の乳幼児・ペットにも配慮してください。
7-1 コバエ(ショウジョウバエ/ノミバエ/キノコバエ)
症状:鉢の周りを飛び回る小さな虫。不快だが植物への直接的な被害は少ない。ただし、キノコバエの幼虫は根を食害することがある。
原因:
- 受け皿に水を溜めている
- 有機質肥料を使用
- 土が常に湿っている
無薬剤対処法:
- 掃除機で吸う:成虫を直接吸引
- 表土2〜3cmの入れ替え:卵・幼虫ごと除去。赤玉土を薄く敷くと産卵防止
- バケツ浸水法:鉢ごとバケツに10分浸水し、浮いた卵・幼虫を除去
薬剤対処法:
土に浸透させるタイプ(粒剤・水溶剤)を表層全体に。
予防:
- 受け皿の水は必ず捨てる
- 有機肥料の使用直後は注意
- 過湿を避ける
- 土の表面に赤玉土を敷く
7-2 ハダニ(クモの仲間)
症状:葉の裏に小さな赤・黄色の虫。葉の表面に白い斑点ができ、ひどくなると葉が枯れる。クモの巣のような糸を張ることも。
原因:
- 高温乾燥(特に夏)
- 風通しが悪い
- 葉水不足
無薬剤対処法:
- 葉裏への葉水:毎日スプレー(ハダニは水が苦手)
- 水洗い:シャワーで葉裏を洗い流す
- 湿布拭き:濡れた布で丁寧に拭き取る
薬剤対処法:
ダニに効く専用薬剤を選ぶ(一般の殺虫剤では効かないものが多い)。ハダニは抵抗性がつきやすいため、異なる系統の薬剤をローテーション。
予防:
- 微風+定期葉水が最強
- 高温乾燥時は特に注意
- 風通しを確保
7-3 コナカイガラムシ
症状:白い綿のような虫が葉・茎につく。吸汁して植物を弱らせる。排泄物がベタベタして「すす病」の原因にも。
原因:
- 風通しが悪い
- 密植
- 新規導入株からの持ち込み
無薬剤対処法:
- 高圧水流で吹き飛ばす:シャワーで洗い流す
- 歯ブラシでこすり取る:少量なら歯ブラシで物理的に除去
- 土に粒剤を撒く:土から薬剤成分を吸わせて予防
薬剤対処法:
二段構えが効果的:
- 接触噴霧:成虫に直接スプレー(ワックス層があるため浸透剤入りが有効)
- 土壌処理:浸透移行性の粒剤を土に混ぜる
新芽への直接噴霧は距離を取って慎重に。
予防:
- 密植を避ける:株間を開けて風通し確保
- 風通しの良い場所に置く
- 持ち込み検疫:新規導入株は2週間隔離観察してから他の株と並べる
その他の害虫
アブラムシ:新芽や若葉に群生。吸汁して成長を阻害。粘液でベタベタに。
対処:水で洗い流す/専用殺虫剤
コナジラミ:葉裏に白い小さな虫。触ると飛び散る。
対処:粘着トラップ/殺虫剤
トビムシ:土の表面を飛び跳ねる小さな虫。植物への害は少ないが不快。
対処:土の表面を乾かす/表土入れ替え
【実践編】観葉植物の選び方と健康チェック
購入前に確認すべき5つのチェックポイント
観葉植物は生き物なので、購入前に個体ごとの健康状態をチェックすることが大切です。
①葉の状態
✅ 良い株:
- 葉に張りと艶がある
- 色が濃くみずみずしい
- 葉先まで元気
- 病斑や変色がない
❌ 避けるべき株:
- 葉が萎れている
- 葉色が薄い・黄変している
- 葉先が茶色く枯れている
- 斑点やカビがある
②虫がついていないか
葉の表裏を必ずチェック:特に葉裏は害虫の温床。購入前に念入りに確認しましょう。
- ハダニの糸や斑点
- カイガラムシの白い綿
- アブラムシの群れ
- コバエが飛んでいないか
③根の状態
可能であれば鉢底を確認:
✅ 良い株:
- 白い健康な根が見える
- 根が適度に張っている
❌ 避けるべき株:
- 根が鉢底から大量に飛び出している(根詰まり)
- 根が黒ずんでいる(根腐れ)
④茎・幹の状態
- しっかりしているか:ぐらつかない、折れていない
- 変色していないか:黒ずみやカビがない
- 傷がないか:輸送時のダメージがない
⑤土の状態
- 適度な湿り気:カラカラor びしょびしょは管理不足の可能性
- コケが生えていない:過湿or 古株の可能性
- 異臭がしない:根腐れのサイン
置き場所に合わせた品種選び
**「育てやすい植物=環境に合った植物」**なので、置き場所を基準に選ぶのがおすすめです。
置きたい場所の環境をチェック
以下の項目を確認しましょう:
- 日当たり:どれくらいの明るさか(直射日光、レースカーテン越しの日光、ほぼ光が入らないなど)
- 風通し:そよ風程度の風通しがあるか(無風や風が強い場所だと観葉植物は育ちにくい)
- 温度:冬の最低気温は何度くらいか
- スペース:どのくらいのサイズが置けるか
初心者が失敗しにくい選び方
耐陰性が高い品種を選ぶ:日当たりが少なくても育つため、置き場所を選ばない
乾燥に強い品種を選ぶ:水やり頻度が少なく、多少の失敗でも枯れにくい
丈夫な性質の品種を選ぶ:寒さ・病気・害虫に対する抵抗力が高い
サイズ選びの基準
観葉植物のサイズは「号」で表記されます。1号=直径3cmです。
サイズ鉢の直径置き場所の例特徴3〜4号鉢(小型)9〜12cmデスク・棚・窓辺手軽に始められる。移動も楽5〜6号鉢(中型)15〜18cmテーブル・サイドボードお部屋のアクセントに。バランス良い7号以上(大型)21cm〜リビング・玄関・オフィス存在感があり、インテリア性が高い
サイズ選びの注意点
- 設置場所を事前に測る:大きすぎると圧迫感、小さすぎるとバランスが悪い
- 成長を見越す:数年後にどのくらい大きくなるか確認
- 移動の頻度:頻繁に動かすなら軽い小〜中型が便利
購入直後にやるべきこと
❌NG:買ってすぐ水やり
「観葉植物を買ったらまず水やり」と思いがちですが、ちょっとストップ!
環境の変化は植物にとってストレスです。ストレスがかかっているときは根が水を吸える量が少なくなるため、そこに大量に水をあげると根腐れの原因になります。
✅正解:3日〜1週間は様子見
まずは新しい環境に慣らす期間を作りましょう。土が乾いてきたら、初めて水をあげます。
その他の初期対応
- ラベル・タグを確認:品種名・育て方をメモ
- 置き場所を決める:明るさ・風通しを考慮
- 鉢カバーを検討:インテリア性を高める
- 記録を開始:水やり日・状態をメモ(スマホカレンダーでもOK)
【トラブル別】症状から見る対処法一覧
観葉植物の異変に気づいたら、以下の表で原因と対処法を確認しましょう。
葉のトラブル
症状考えられる原因対処法葉先が茶色く枯れる乾燥・風不足・肥料過多葉水を増やす/風通し確保/肥料を控える葉が黄色くなる水のやりすぎ・光不足・低温・栄養不足水やり頻度を見直す/明るい場所へ/肥料を与える葉が白く変色(葉焼け)直射日光の当てすぎレースカーテンで遮光/明るい日陰へ移動葉が黒く変色根腐れ・低温障害水やりを控える/暖かい場所へ移動葉がパリパリ乾燥・水不足水やり頻度を増やす/葉水を毎日葉が垂れる低温・水不足・根腐れ原因を特定して対処葉に穴が開く害虫(バッタ・ナメクジ等)虫を探して除去/殺虫剤葉がベタベタカイガラムシ・アブラムシの排泄物害虫を除去/水で洗い流す
新葉のトラブル
症状考えられる原因対処法新葉が小さい光不足・栄養不足明るい場所へ/肥料を与える新葉が出ない休眠期・根詰まり・栄養不足季節を待つ/植え替え/肥料新芽が黒くなる低温・病気暖かい場所へ/病変部を切除
根のトラブル
症状考えられる原因対処法根が黒い・ブヨブヨ根腐れ水やりを控える/植え替えて腐根を切除根が鉢底から出る根詰まり一回り大きい鉢に植え替え水の吸い込みが悪い根詰まり・土の劣化植え替え
土のトラブル
症状考えられる原因対処法土の表面が白い肥料成分の析出・カビ表土を入れ替える/風通し改善土がカビ臭い過湿・風通し不足水やりを控える/風通し改善土が固まっている土の劣化・カルキの蓄積植え替え
全体のトラブル
症状考えられる原因対処法成長が止まった休眠期・根詰まり・環境不適季節を待つ/植え替え/環境改善株がぐらつく根腐れ・根が育っていない根の状態を確認/植え替え全体が萎れる水不足・根腐れ原因を特定して対処
【剪定】樹形を整えて健康を保つ
剪定は年をまたいで育てる人にとって大切な作業です。
なぜ剪定が必要なのか?
- 風通しを良くする:密集した枝葉を整理して病害虫を防ぐ
- 樹形を整える:見た目を美しく保つ
- 栄養を集中させる:不要な枝を切ることで、他の枝に栄養が届く
- 徒長を防ぐ:間延びした枝を整理
植物は最も光に近い部分を伸ばす性質があるため、剪定をしないと枝が長く伸びて不揃いになりやすいです。
剪定の時期
生育期の直前(4〜5月)がベスト:剪定後の回復が早い
夏〜秋の剪定も可能ですが、冬(11〜2月)は避けましょう。
剪定の方法
通常の剪定
- 不要な枝を見極める
- 枯れた枝
- 徒長した枝(間延びして細長い)
- 混み合っている枝
- 内側に向かって伸びる枝
- 清潔なハサミで切る
- 園芸用の剪定バサミを使用
- 使用前に消毒(エタノールで拭く)
- 切り口は斜めに
- 切る位置
- 節の5mm上で切る
- 葉の付け根の少し上
- 切った後
- 切り口が大きい場合は癒合剤を塗る
- 数日は直射日光を避ける
強剪定
株が完全に弱ってしまった時や冬越し前に行う大胆な剪定。ほぼ全ての葉を切り落とし「ボウズ」の状態にします。
- 最終手段として使用
- 生育期(春〜初夏)に行う
- 回復まで時間がかかる(数ヶ月)
まとめ(要点の再確認)
観葉植物を元気に育てるための最重要ポイントをおさらいします。
【基本の4要素】これだけは守る
- 明るさ適合:レースカーテン越しの明るい日陰が最適
- 乾いたら鉢底から流れるまで:メリハリのある水やり。受け皿の水は捨てる
- 10℃以下にしない:冬は室内中央へ。夜間の窓辺は避ける
- 微風と換気:サーキュレーター+こまめな換気で病害虫予防
【失敗しない管理】
- 肥料は生育期のみ:5〜9月に緩効性肥料2ヶ月に1回、または液肥月1回
- 薄め厳守:迷ったら薄めに。多肥は根を傷める
- 置き肥と液肥を使い分け:日常は置き肥、元気がない時は液肥
【植え替え】
- 時期が命:5月中旬〜9月中旬の温暖期のみ
- ひと回り大きく:現在より+3cmが基本
- 回復期間:明るい日陰+無施肥+葉水で1週間養生
【害虫対策】
- 種類を特定:コバエ・ハダニ・カイガラムシで対処が異なる
- 正しい薬剤or物理除去:虫に合った方法を選ぶ
- 予防ルーチン:葉水・風通し・検疫が最強
【オフィス管理】
- 当番表と記録で「誰がいつ水やり」を明確化
- 鉢にラベリング:乾き判定法・頻度目安・担当曜日を記載
- 属人化を解消:誰でも水やりできる仕組みづくり
D.よくある質問(FAQ)
Q1:葉先が茶色に枯れるのはなぜ?
A:以下の原因が考えられます。
- 乾燥:風通しが悪い、湿度不足 → 葉水を毎日・加湿器の使用
- 過湿による根傷み:水のやりすぎ → 水やり頻度を見直す
- 肥料の与えすぎ(肥料焼け):→ 水をたっぷり与えて肥料を流す・しばらく無施肥
原因を特定してから対処しましょう。安易に肥料を与えると悪化することがあります。
Q2:下葉が黄色くなって落ちる
A:
- 自然現象の場合:古い葉の更新は正常。1〜2枚程度なら問題なし
- 急増する場合:以下を疑う
- 光不足 → 明るい場所へ移動
- 過湿(根腐れの初期症状)→ 水やりを控える
- 低温 → 暖かい場所へ移動
- 栄養不足(生育期のみ)→ 液肥を与える
Q3:鉢の中に白い塩のようなものが出てきた
A:肥料や水道水に含まれるミネラルの析出です。