
光沢のある鮮やかな花が人気の「アンスリウム」。
開花期が長いことが特徴で、次々と花を咲かせるため、育てる楽しみが大きいのも魅力の1つです。
しかし、「育て方がよくわからない」、「花をつけるにはどうしたらいいの?」「元気がなさそうだけど対処法を知りたい」というお悩みもよく耳にします。
そこで、ここではアンスリウムを長年育成、観察してきた経験を活かし、「育て方」や「次々花を咲かせる方法」、「トラブル時の対処法」を簡単な3つのポイントに分けてご紹介しております。
また、日ごろ目にすることのない、アンスリウム名称や自生地の姿を写真付き紹介していきます。
1.アンスリウムの自生地の姿とその特徴
アンスリウムの名前は、ギリシア語「アンサス(花) オウラ(尾)」に由来していて、肉穂花序の容姿にちなんで名づけられたといわれています。
ハワイでは「Heart of Hawaii」とも呼ばれており、人々に古くから愛されてきた植物でもあります。
1-1.アンスリウムの植物としての分類
アンスリウムは、‘団扇(うちわ)のような真っ赤な花’に見えることから、和名で「オオベニウチワ」と呼ばれ、サトイモ科のアンスリウム(ベニウチワ)属という属に分類されます。
下の写真・左のような美しい仏炎苞(一般的に花と称しています)の種と、下の写真・右のような美葉種の2つのタイプがあります。
ちなみに花言葉は、「恋にもだえる心」
赤い花は「情熱」
白い花は「熱心」
ピンクの花は「飾らない美しさ」と、花の色によっても違います。
風水では家の中の西の方角に飾ると「恋愛運アップ」と言われ、見た目もさることながら、このような縁起の良さも人気の理由のひとつなのでしょう。
1-2.アンスリウムの自生地
自生地はコロンビア、エクアドルなど熱帯アメリカやインド諸島に600種以上が分布していると言われています。
1-3.アンスリウムの自生地での姿
続いて、アンスリウムの自生地を見てみましょう。
堂々とした大きな葉をもつアンスリウムや、可愛らしい薄紫の花のアンスリウムなど、自生地には
見たこともないような魅惑的なアンスリウムが多数生息しています。
空に向かって直立するアンスリウムはイキイキとして、どこか神秘的な雰囲気を感じさせてくれます。
1-4.アンスリウムの花の秘密
アンスリウムの花というと一般的に「赤いハート型の花」をイメージすることが多いと思いますが、
実はアンスリウムの花は「赤いハート」の部分ではなく、その先にある「黄色の突起物」です。
花の部分のそれぞれの名称を見ていきましょう。
仏炎苞(ぶつえんほう)・・・赤・白・ピンクなどに葉が色づいたものです。光沢、厚みがあり、形も卵型やハート型など様々です。
肉穂花序(にくすいかじょ)・・・これが花で、尾のように棒状になっています。写真は黄色と白ですが、種類によって赤やピンクなどもあります。
花茎(かけい)・・・花をつける茎のこと。
2.アンスリウムがイキイキと美しく育つ3つのポイント
一年中室内で楽しめるアンスリウムですが、光沢のあるきれいな花と葉、この容姿を保つには、いくつかのポイントがあります。ここでは3つのポイントを紹介していきましょう。
2-1.日当たりがよく、風通しのよい場所で育てる
アンスリウムは強い日射しに弱い植物です。特に夏の日射しや西日などに当ると、葉焼けすることがあります。明るい日陰で管理しましょう。
アンスリウムを育てるにあたり、一番注意しておきたいポイントは、置き場所の日当たり条件です。
室内で管理する場合は上の写真の①~④全てのお部屋で管理することは可能です。
この中では②のお部屋がベストと言えるでしょう。
①であれば、直射日光があたらない場所、③④のお部屋でも育てることは可能ですが、軟弱な株になってしまい元気に生長することが見込めず、花が咲きにくくなります。
そんなときは日光が入る①や②のような部屋へ移動させレースのカーテン越しに1日に4~5時間ほどの日光浴をさせるとよいでしょう。
2-2.水やりは土が乾いたらたっぷり与える
次に、アンスリウムの水やりです。
水やりのコツは「水を与えるときはたっぷりと与え、土が湿っているときは与えない」
このメリハリをしっかりとつけることがポイントです。
ただし、水ゴケやピートモスなど保水性の高い用土に植えられているものに水を与え過ぎると、根腐れする事があるので注意が必要です。
2-2-1.水やりのタイミング・量
左①は土が乾いた状態。右②は水を与えた直後で土が湿っている状態です。
比較すると分かりますが、土が乾燥していると白っぽく見え、触ってみると固くなっています。
水を与えるときは、土の表面が乾いた状態のときに、鉢底から出てくるまでたっぷりと与えます。
そして受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。そのままにしていると根腐れに繋がります。
※季節ごとの水管理方法
4月~10月の生育期は土が乾いたら、すぐに水を与えてください。
朝の最低気温が20度を下回ってくると、徐々に水を吸わなくなってくるので、水やり回数を徐々に減らします。
冬は鉢土が乾いてから数日して水やりを行い、乾燥気味に管理します。
真冬に水を与え過ぎると、根腐れの原因になるので注意してください。
多湿を好む植物ですが、常に用土がしめっているような状態では根が腐ってしまうことがあります。
また、極端な乾燥は葉が下の方から黄色くなって落ちていきます。
2-2-2.定期的に霧吹きで葉水を与える
水やりとセットで覚えておきたいのが葉水です。
葉水は霧吹きなどで葉に直接水を吹きかけることを指します。
アンスリウムは土の過湿が嫌いな反面、空気中の湿度が高いのを好むので、時々霧吹きなどで葉水を与えると効果的です。
こまめに霧吹きなどで茎葉に水をかけてあげることにより、株がイキイキとなり元気に育ちます。
多湿を好むというのは用土が常にしめったような環境を好むということではなく、空気中の湿度が高い環境を好む、と理解すればよいでしょう。
特にエアコンをつけた室内では、霧吹きで葉水を与えることがポイントです。
2-3.温度条件
生育に高温を必要とする植物ですが、真夏はできるだけ涼しい場所に置きましょう。
また、アンスリウムは寒さに弱く、最低温度が10℃は必要なので、冬は室内のできるだけ暖かい場所に移動しましょう(窓際の冷え込みに注意!)。
エアコンで室内が乾燥する場合は、加湿器などで空気中の湿度を保つと良いでしょう。
エアコンの風が直接当らないように場所を選んで置くことが大切です。
3.よくあるアンスリウム3つのトラブル対処法
ここでは、アンスリウムを育てていると起こりがちなトラブルと、その対処方法について紹介します。
3-1.葉が黄色くなったときの対処法
暗い所に長く置いていたり、水の与え過ぎや多湿が原因で上の写真のように葉が黄色くなることがあります。
このようにアンスリウムの健康状態が悪いにも関わらず、焦って肥料を与えてしまうと、逆に状態を悪化させてしまう可能性あります。
このような場合は、肥料に比べ養分が少なく、元気の無い植物にも負担をかけない「活力剤」を与えましょう。
園芸店やホームセンターの園芸コーナーに行くと、下の写真のようなもたくさんの活力剤が売られていますので、ぜひ試して下さい。
また、以下の写真のように葉に焦げたような症状が出ている場合は、葉焼けが原因です。
葉焼けとは、人間でいう「日焼け」によるやけどのようなもので、夏場に直射日光にあててしまうと半日でもこのような症状が出る場合があります。
一度葉焼けを起こした葉は元には戻らないのでくれぐれも注意してください。
3-2.元気がないときの対処法
上の写真のようにアンスリウムがくたっとなっていたり、元気がないな?というときは、まず土の状態を見てみましょう。
土に肥料を与えてみるのもよいでしょう。
肥料は気温が低いうちは肥料をやっても効果がない上に、根腐れを起こすことがあるので、気温が十分に上がってくる5月中旬から与えるのがベストです。
このような場合は「緩効性」の肥料よりも効き目がすぐに出る「速効性」の液体肥料がおすすめです。
月に1回、生育状況を見ながら肥料を与えると、成長もよくなり葉の色つやもぐんとよくなります。
しかし肥料を与え過ぎたり、濃いものを施すと「肥料焼け」を起こすので、窒素・リン酸・カリウムの“三大要素”の比率があまり高くない商品を選択しましょう。
肥料は9月頃まで与え、それ以降は翌春まで必要ありません。
3-3.花を咲かせたいとき
アンスリウムは葉が増えることで次々に花を咲かせます。
葉が増えない場合は、「根詰まり」、「肥料不足」が考えられます。
根詰まりしている場合は植え替えをしてあげましょう。
(後述4.アンスリウムの植え替え参照)
肥料はリン酸を多く含んだものがよいでしょう。
春から秋まで花用の緩効性の化成肥料や液体肥料などを1カ月に1回のペースで与えると、花付きも良くなり効果的です。
植え替えをした場合の追肥は、1週間ほど経ってから行いましょう。
また、花は春から秋まで長く楽しめますが、いつまでも咲かせておくと次の花が咲きにくくなります。
花の色が褪せてきたら、早めに元から切り取りましょう。
4.アンスリウムの植え替え
アンスリウムの根がいっぱいに回り根詰まりすると、生育が悪くなり花付きも悪くなります。
また、冬に枯れる原因になりますので、2年に一度は植え替えをします。
時期は高温多湿帯の熱帯観葉植物ですので、6月~7月中旬の梅雨時期が最適ですが、8月中旬頃まで行えます。
茎の途中に根が出ていれば、そこが用土に埋まるように、やや深めに植えます。
もし根が鉢の底につかえて入らない場合は、下の方の根が入るように適度に切り除きます。
用土は通気性のよい多孔質の用土を好みます。
通気性が悪いと根腐れしてしまうので、注意が必要です。
自分で作る場合は赤玉土(小粒)、腐葉土、パーライト、バーミキュライトを等量した用土などを使用します。
詳しくは 「観葉植物の植え替えで絶対に注意しなくてはいけない3つのこと」を参照してください。
5.アンスリウムの飾り方のアイデア
深みのある緑の葉と赤や白・ピンクなどの光沢のある花がとても美しいアンスリウムは、1鉢置くだけでその空間を華やかな印象に変えてくれます。
そんなアンスリウムをお部屋に飾るにあたりそのまま飾っても味気がありません。実は「鉢」を変えるだけでオリジナリティー溢れる素敵なインテリアへと大変身してくれます。
ここでは実例を実際に見ていきましょう。
5-1.鉢のバリエーションで楽しむ
アンスリウムを入れる鉢の色によって、雰囲気が大きく変わってきます。それでは色ごとの飾り方・見え方を見ていきましょう。
5-1-1.白系の鉢を合わせる
鉢にはたくさんのカラーバリエーションがあります。どの色で合わせようか迷われた際は、白をオススメいたします。
白の鉢に植えることで、とても清潔感のある爽やかな印象を与えてくれます。
5-1-2.赤系の鉢を合わせる
一見派手すぎるようにも見える「赤系」の鉢ですが、お部屋に配置することで、アクセントになると共に、元気な印象を与えてくれます。
5-1-3.黒の鉢に合わせる
続いて黒い鉢へ。アンスリウムの可愛らしい印象を瞬く間にシックでかっこよい空間へと変えてくれます。
5-1-4.クラッシック風の鉢へ合わせる
上の写真のような趣のある鉢へ替えることにより、おしゃれでレトロな雰囲気を出すことができます。
5-1-5.ガラスの器を合わせる
ガラスの鉢へ植え込み、根や土が見えた状態にするのも、斬新でおしゃれですね。また、クールで涼しい印象を与えてくれます。
5-1-6.その他
上の写真のように、カゴの鉢や、木製の鉢、大きな鉢にアンスリウムだけを寄せ植えするなど、皆さまの好みに合わせて、色々鉢をアレンジしてみるのも楽しみ方のひとつです。お気に入り鉢を用意し、オリジナリティー溢れるインテリアを作成されてみて下さい。
5-2.切り花として楽しむ
アンスリウムは鉢植えだけではなく、その美しい花を切り花として楽しむことができます。ベーシックなガラスの花器はもちろん、陶器性の花器を使いアレンジを作成してみると、一味違ったオシャレな表情を見せてくれることでしょう。
5-3.寄せ植えで楽しむ
観葉植物の寄せ植え作る場合も、アンスリウムをアクセントに入れてみるのも面白いでしょう。他のグリーンとも合わせやすいのでぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
6.まとめ
ここまで、綺麗な花が魅力的なアンスリウムをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここで紹介したポイントをおさえて、いつまでもイキイキとしたアンスリウムを育てていただければ幸いです。
今後ともアンスリウムのことでお困りのことがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
引っ越したマンションの部屋にアクセントとして赤、白、ピンクのアンスリウムを購入しました。鮮やかな色がとても美しく部屋の雰囲気が変わりましたが、店員さんに育て方を聞きましたが、是非長持ちさせて株わけもしてみたいと思います参考になるに読ませて頂きました。私もアンスリウムを大きく育てて掲載されている写真のような見事な株にしたいと思います。
伊藤 様
メッセージありがとうございます。
アンスリウムはとても色鮮やかで美しい、観葉植物ですよね。
是非とも、かわいがってあげて下さい!
伊藤様のアンスリウムが、いつまでもお部屋を華やかに彩り、活き活きと元気に成長してくれることを心よりお祈りいたしております。
初めてメルしますが私もアンスリュームを育ててます今年で
二回目の冬越しです夏場に窓越しの日が強かったせいか少し
葉焼けしましたけど今一輪の花咲いてます予備軍も根元から
赤いのが三つのぞいてます(11月)温度が下がって来たので
水は1週間に一度たっぷりやってます夜は暖房のある明るい
部屋に朝が明けたら窓際に移動してますお店に売ってる
アンスリューム見たいに沢山の花びら咲かせる様に頑張って
ます大変参考に成りありがとうございました
持田 様
メッセージ、またお褒めのお言葉をいただき誠にありがとうございます。
とても大事に大切に育成されていらっしゃる様子が伝わってきて、何だか私もうれしくなりました!
記事内にも記述しておりますが、たくさんの花を咲かせるポイントとして、「リン酸」を多く含む肥料を与えると良いですよ。
是非実践されてみて下さい。
持田様のアンスリウムがこれからたくさんの花を咲かせ、いつまでも元気に活き活きと成長してくれることを心よりお祈り致しております。