
丈夫で育てやすい観葉植物として有名な「ゴムの木」。
園芸店や、ホームセンター、インテリア雑誌など様々な場所で見かけますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
この「ゴムの木」はクワ科・フィクス属の植物です。フィクス属は種類も豊富で、そのどれもが非常に個性的で存在感のある姿をしており、おしゃれなインテリアプランツとして常に上位を独占しています。
そんなおしゃれなインテリアプランツであるゴムの木と、その仲間であるフィクス属について、原産地での神秘的な姿、人気の代表種・希少種20選、ゴムの木をカッコよく飾る4つの方法、ゴムの木をイキイキ育てる方法を初級者編と中級編に分けて幅広く紹介します。
目次から項目をクリックするとその記事までジャンプしますので、興味のある項目からご覧ください。
4.ゴムの木をイキイキと元気に育てる3つのポイント【初心者編】
1.原産地での神秘的な姿とその特徴
1-1.ゴムの木の特徴
まずは「ゴムの木」と聞いて多くの方が思い浮かべるものは、上の写真のようなイメージではないでしょうか?
冒頭でも触れましたが、この「ゴムの木」はクワ科・フィクス属に分類される植物です。
ゴムの木の仲間であるフィクス属は非常に種類が豊富で、世界中の温帯から熱帯地方になんと約800種類以上あると言われています。
インテリアプランツとして人気の高い「ウンベラータ」、「ベンジャミン」、気根が特徴の「ガジュマル」も実はゴムの木の仲間で、フィクス属はいります。
このようにフィクス属には人気があるものが多いため、この記事では単に「ゴムの木」だけを紹介するにとどまらず、「フィクス属」全体をカバーしていきます。そこで「ゴムの木」と「フィクス属」を総称し、「ゴムの木(フィクス)」と表記していきます。
1-2.観葉植物としてのゴムの木の性質
ゴムの木(フィクス)は耐寒性・耐陰性・耐乾性に優れ、比較的どんな場所でもなじみやすく、また強靭で枯れにくい性質を持っています。
特に室内での育成にも向いていますので、観葉植物の中でも初心者に育てやすい部類といえます。
1-2-1.名前の由来
文字通り天然ゴムの原料が採取されることから「ゴムの木」と名付けられました。
上の写真のように白い樹液からラテックスと呼ばれる天然ゴムの原料となる物質が採取できます。近年では天然ゴムの採取に関してはトウダイグサ科のパラゴムの木と呼ばれる、フィカス属とは別の種の植物に需要が傾いています。
またゴムの木(フィクス)の樹液は皮膚につくと被れるたり、洋服やラグ・カーペットなどにつくとシミになり取れなくなるので選定や誤って葉を折ってしまった時には十分注意が必要です!
1-3.原産地での神秘的な姿
まずは写真をご覧ください。
不気味で迫力のある写真ですね。この写真はゴムの木の仲間である「ガジュマル」の原産地での様子です。
太い幹や枝からタコの足のような無数の根が大地に向かって伸び、まるで巨体を支えているような印象ですね。
この「気根」と呼ばれる‘空気中に生えた根’はゴムの木の仲間の特徴でもあります。
この「気根」が一種独特の存在感を生み出し、今にも動き出しそうな不気味な印象を与えます。
いくつか原産地での様子を見てみましょう。
躍動感のある根が、大地を縦横無尽に走り回っている姿は、奇妙な生物のようにも見えます。
苔むした幹や根、亀裂やひび割れた幹肌は、過酷な時期も生長をとどめることなく永い年月を経てきたことを雄弁に物語っています。
絡み合った気根が一本の太い幹のように見えるゴムの木の巨木。
このように生命力に満ち溢れ、大自然のエネルギーを感じさせてくれる姿から、畏敬の念を込めて聖木や神木として扱ている地域も少なくありません。
2.人気のゴムの木(フィカス)代表種・希少種20選
次はゴムの木(フィクス)の種類について紹介します。
種類が非常に多いので、ここでは20種に厳選して紹介します。
2-1.インドゴム(Ficus elastica)
鑑賞用ゴムノキの基本となる品種「インドゴムの木」。このインドゴムの木の突然変異や品種改良により、様々な園芸品種が生まれています。
2-2.アサヒゴム(Ficus elastic Asahi)
インドゴムの木から生まれた突然変異種で、葉の周縁部に細く白乳色の斑が入ります。優しい色合いでインテリアとしても人気があります。
2-3.デコラゴム(Ficus elastica Decora)
インドゴムノキの枝変わりによってできた品種。濃緑色の葉は肉厚で大きく丸みがあります。非常に丈夫で繁殖力旺盛。最もよく見かけるゴムの木でもあります。
2-4.デコラ・トリコロール(Ficus elastica Decora Tricolor)
デコラゴムの枝変わりから生じた品種。葉の中央が緑で周囲が灰緑色、外側に大きく乳白色の斑が入っています。アサヒゴムとよく似ています。
2-5.エラスティカ・ジン(Ficus elastica Gin)
こちらもインドゴムの木の改良品種。しなやかで美しい葉が女性的な印象。ゴムの木(フィクス)でこのように優しい雰囲気をもっているのはエラスティカ・ジンくらいではないでしょうか。
2-6.バーガンディ(Ficus elastica Burgundy)
別名「クロゴム」「アビジャン」「ロブスタ」とも呼ばれ、葉が赤黒味を帯び鮮やかなバーガンディ。強い太陽光下でより色が冴えます。品種名のバーガンディとは「ブルゴーニュ産の赤ワイン」の意味があるとか。
2-7.ティネケ(Ficus elastica Decora Tineke)
バーガンディの枝変わり種である「ティネケ」。「デコラ トリコロール」「アサヒゴム」によく似ており、比べてみてもあまり違いが分かりません。それぞれ突然変異の矮性種で、派生元が異なります。
2-8.ベリーズ(Ficus elastica Belize)
目に飛び込んでくる赤い葉が大変印象的で観賞価値の高い品種。日光によく当てると発色がよくなります。別名「赤ゴム」とも呼ばれています。
2-9.アポロゴム(Ficus elastic Apollo)
デコラゴムやインドゴムに比べ小ぶりな葉を持っています。その葉はねじれていたり凸凹になっていたり、一種独特の存在感があります。また葉のつき方が密で、茎が見えない程になることも。個性的で丈夫なのでインテリアプランツとしておすすめです。
2-10.カシワバゴム(Ficus lyrata)
葉の形状がカシワの葉によく似ていることからこの名前がつけられました。濃緑色で大きく波打つ葉は存在感があり、こちらも非常に丈夫。国内より欧米の方で特に人気が高く。ベーシックなインテリアプランツとして親しまれています。
2-11.アフリカンプリンス(Ficus AfricanPrince)
「カシワバゴム」に似ていて、とても大きくダイナミックな葉が印象的なアフリカンプリンス。数年前に輸入の規制がかかり、現在で国内生産者も限られるため希少種になってきました。
2-12.ショウナンゴム(Ficus binnendykii )
細長い葉が下垂してつく姿が魅力で、涼しげな印象を与えてくれます。耐陰性があるため、比較的暗い場所でも葉が落ちにくいことから初心者にも育てやすい品種です。和洋問わず良く合うため、室内の様々な場所にをおしゃれに飾ることができます。
以前はフィクス・イレグリアス(Ficus irregularis)の学名で知られていましたが、誤用と判明しフィクス・ビンネンディキー(Ficus binnendykii)の名前に変わりました。別名のショウナンゴムの方が一般的によく知られています。
2-13.フランスゴム(Ficus rubiginosa)
小ぶりで丸みを帯びた葉がかわいらしいフランスゴム。幹を曲げた「曲り」と呼ばれる商品が特に人気が高く、インテリア雑誌などでよく紹介されています。
2-14.ベンガレンシス(Ficus benghalensis)
ゴムの木(フィクス)の中でも人気が高い品種で、TVのCMなどでもよく使われています。楕円形の葉に入る美しい葉脈が魅力的で、太い気根を多く出すのも特徴。「ベンガルボダイジュ」や「ベンガルゴム」とも呼ばれます。
2-15.クリシュナボダイジュ(Ficus benghalensis Krishnae)
ベンガレンシスの改良品種。波状にうねった葉が何とも印象的で、デザイン性に富んだゴムの木。希少種なので見つけたら即買いですね
2-16.アルテシーマ・バリエガタ(Ficus altissima Variegata)
こちらも黄色と若緑色のコントラストがとても色鮮やかなアルテシーマ・バリエガタ。園芸店などでは「アルテシーマ」の名前で流通しています。原種は深い緑色の葉を付けますが、あまり市場に出回ることはありません。日光が大好きで日当たりの良い場所に置くと発色がよくなります。日陰に置くと幹がだらしなく伸びる「徒長」をおこし、葉の色も悪くなってしまうのでご注意を。
※バリエガタとは…斑入り戸言う意味で葉の突然変異により、色素が抜け白や黄色などの模様が入ること。
2-17.インドボダイジュ(Ficus religiosa)
ハート型で先端が長く伸び、他のゴムの木に比べ葉が薄いのが特徴。三大聖樹(仏教三霊樹)の一つ。原産地では気根が他の木に巻き付き最後にはその木を絞め殺してしまう「絞め殺しの木」として知られています。
2-18.ペティオラリス(Ficus petiolaris)
「ウンベラータ」に似ており、葉はハート形で赤い葉脈や葉柄がとても美しい「ペティオラリス」。基部がふっくらと膨らむのも特徴で、生長が非常に遅いため希少価値が高く高価です。
2-19.トライアンギュラリス(Ficus triangularis)
肉厚で三角形状の葉が特徴のトライアンギュラリス。ゴムの木(フィクス)の中でも特に乾燥に強い。
2-20.プミラ・サニーホワイト(Ficus pumila Sunny White)
卓上サイズのミニプランツとして人気がある「プミラ」。園芸店などでよく見かけますが、実はこれもゴムの仲間。
比較的、耐陰性・耐陰性があるため、育てやすい卓上サイズのミニプランツです。縁に白斑が入らないタイプもありますが、そちらの方がさらに耐陰性に優れています。
ゴムの木の仲間はまだまだ魅力的な種類が数多く存在します。もっとゴムの木の種類について知りたい方は「ゴムの木(フィカス)種類32選とおしゃれに見せる飾り方のコツ」へどうぞ。
3.センス抜群!ゴムの木をカッコ良く飾る4つの方法
ゴムの木(フィクス)は葉の形状・色・樹形が様々で、そのどれもが独特の個性と存在感を備えているので、見る人の目を楽しませてくれます。また観葉植物の中でも特に丈夫な性質を持っているため、おしゃれなインテリアプランツとして非常に優秀です。
ここではそんなゴムの木(フィクス)の魅力を引き出す飾り方を4つのシーン毎にまとめました。
3-1.出窓や棚の上
ゴムの木(フィクス)はスモールサイズであっても十分な存在感を持っています。出窓や棚の上・卓上など、目線に近い高さに飾ることで、より存在感が際立ち、殺風景な空間を潤いのある空間に変えてくれます。
3-2.リビング編
リビングにはゴムの木(フィクス)のビッグサイズをシンボルツリーとして飾るのがベスト。存在感のある一鉢に絞り込んでダイナミックに飾ることで、メリハリが効いた空間になります。
ミドルサイズのゴムの木を楽しむ
空間に限りがある部屋に飾るときは、ミドルサイズのゴムの木(フィクス)がおすすめです。その際には葉や樹形にしっかりこだわりたいところ。こうすることで圧迫感を与えることなく、存在感のあるグリーンがセンスの良い空間を演出してくれます。
「少し高さが足りないな」と感じたり、壁の“抜けた空間”が気になるときは、台の上に飾ったりスタンド付の植木鉢に植えこんで高さを調整してください。一度設置してみたら、少し離れてバランスを見て、しっくり来る高さを探してみましょう。
3-3.ゴムの木をキッチンやダイニングで楽しむ
ゴムの木(フィクス)は良くも悪くも存在感があるため、ダイニングスペースにゴムの木(フィクス)を飾る場合も1本に絞り込み、部屋の隅に配置するといいですね。そうすることで自然な緑の背景を作り出し、憩いのひと時を更に演出してくれます。
3-4.玄関
来客を出迎える‘ウェルカムプランツ’としても優秀なゴムの木(フィクス)。存在感があるため、玄関を開けると真っ先に視線が向かう“アイストップ”としても効果バツグン。パーテーションとしての機能もあり、プライバシー保護の観点からも効果的です。
また、日当たりの悪い玄関でもゴムの木(フィクス)はよく耐えてくれます。もちろん真っ暗な場所では日光不足で枯れてしまいますので、週3~4日は日当たりの良い場所で日光浴をさせてください。
これは海外の玄関先。大きく育ったゴムの木はインパクトあり過ぎ。ウェルカムプランツというよりシンボルツリーですね。
国内では九州南部あたりでこういったゴムの巨木を見かけます。関東以北では越冬が難しいかもしれませんね。
4.ゴムの木をイキイキと元気に育てる3つのポイント【初心者編】
ここでは“ゴムの木(フィクス)の購入を考えている”または“購入したばかり”の方に必要になってくる育て方のポイントを3つに絞って紹介します。
ポイントは以下の通り。
①ゴムの木(フィクス)がイキイキ育つ置き場所(日光条件)
②水やりのタイミングと頻度
③生育に必要な温度条件
4-1.ゴムの木がイキイキ育つ置き場所(日光条件)
観葉植物を購入する前、購入した直後に一番悩みがちなのが置き場所ではないでしょうか。
「どの部屋なら元気に育つんだろう。」、「日光が当たらない部屋だけど大丈夫かな」と悩んでしまいますよね。
文章での説明はわかりにくいため、写真で解説します。
以下の写真をご覧ください。
ゴムの木(フィクス)は日当たりをとても好むため、①、②の部屋がベスト。耐陰性にも優れているため③、④の部屋でも育成は可能です。
ただし④の明るさの部屋に長期間置いていると、日光不足で葉色が悪くなり葉を落とします。また枝が締まりなく伸びる「徒長」が始まり樹形がみっともなく崩れてしまいます。
そこで、どうしても④のような明るさの部屋に置きたい場合は、1週間のうち4日、1日5時間程度は①の部屋で日光浴をさせてください。
「ティネケ」、「トリコロール」、「アサヒゴム」のように「斑」が入る品種は、強い直射日光には若干弱く、“葉焼け”をおこすこともありますので、②のレース越しのような柔らかい光が差し込む場所に置いてください。
4-2.水やりのタイミングと頻度
ゴムの木はとても水を好む植物です。とはいえ単に毎日水をあげれば良いということではありません。
水やりのポイントは以下の3つのをしっかり押さえておいてください。
①土が乾いたらたっぷり水を与える。
②土が乾くまで水を与えない。
③受け皿に水を溜めない
ゴムの木は乾燥にも強い植物ですので、水やりを少々忘れたぐらいでは枯れることはありません。
しかし水を与えすぎると枯れます。またユゴムの木を枯らす原因で一番多いのが水の与えすぎです。
3つのポイントだけを守っていれば水管理でゴムの木を枯らすことはありませんので覚えておきましょう。
4-2-1.土が乾いたらたっぷり水を与える。
「土が乾いたら」「たっぷり水を与える」この2つについて説明します。
以下の写真をご覧ください。
左の写真が土が乾いた状態です。
表面はさらさらしていて、土の表面や土の中を指で触っても湿っていない状態です。
この時が水やりのタイミングです。
右の写真が水を与えた後、もしくは土が湿っているときです。
指で触ると湿っているのがわかります。
「たっぷり水を与える」とは水は鉢底から水が出てくるまで与えることです。
以下の写真をご覧ください
①ベランダで水やりをするときは鉢から水が浸みだしてくるまで水を与える。これが「たっぷり与える」ということです。
②室内であれば受け皿に水が浸みだしてくるまで水を与えます。
そのあと受け皿にたまった水は捨てます。
鉢底から水が流れるまで水やりをする理由は2つです。
・根のすみずみまで水を行き届かせるため。
・水を通して根が呼吸するための新鮮な空気を入れ替えるため。
こうすることで根が健康に育ち、葉もイキイキと茂ってきます。
4-2-2.土が乾くまで水を与えない
頻繁に水を与えていると、常に土がジメジメと湿っている状態になります。こうなると根が酸素不足に陥って、根が腐り、最終的には枯れてしまいます。
こうならないためにも水やりは土が完全に乾燥するまでは与えないように。
また、いつも土に湿り気がある状態だと根が健全に育たず、土から養分や水分を吸収するための根毛がうまく発達しなくなり、観葉植物そのものは貧弱になってしまいます。
土がしっかり乾いてから水やりをするのは植物の根を健全に育てるためでもあります。
4-2-3.受け皿に水を溜めない
これは上記の理由と同様に、土が常にジメジメ湿っている状態を避けるためです。
以上、3つのポイントを守っていればゴムの木の水やりに失敗することはありません。
あまり深く考えず、水を与えるときはたっぷり与え、土が湿っている時は与えない。このメリハリをきっちりとつけましょう。
また、観葉植物の水やりで絶対に注意するべき3つのポイントに更に詳しいを水やり方法を記載しています。観葉植物の水やりをマスターするとあらゆる観葉植物を育成できるようになりますのでぜひ挑戦してみてください。
4-3.生育に必要な温度条件
ゴムの木は基本的に温帯から熱帯地方の暖かい国出身の植物なので夏の暑さに強く、同時に「耐寒性」にも優れています。特に耐寒性については種類にもよりますが、基本的に5℃を下回らない様に管理すれば大丈夫です。ここで気温と水やりのタイミングがとても大切になってきますので、季節ごとの管理方法を見てみましょう。
4-3-1.春~夏時期
春の最低気温が10℃を超え、鉢の中の土が完全に乾いたことを確認出来たら水やりをして下さい。
4-3-2.秋ごろ
土が乾いたことを確認し2・3日空けて水やりを行なって下さい。
4-3-3.冬期
水やりの間隔をさらに空けます。お部屋の暖房の効き具合にもよりますが、最低気温が10℃を下回りだすとゴムの木は成長が著しく低下し水をあまり必要としなくなります。土が乾いてから4・5日空けて水やりをして下さい。
また、乾かし気味に管理することで寒さにも若干強くなります。
5.ゴムの木のトラブルを改善する3つの方法【中級者編】
ゴムの木を育てていると、葉の色が悪くなって来たり、大きくなりすぎて場所をとり過ぎたり、形が崩れて締まりのない姿になってきたりします。
永くゴムの木を楽しむためにこういった状況にも対処する知識が必要になってきます。
ここではそういった状況を改善させる方法を以下の3つに絞って紹介します。
①健全な生育を促す「植え替え」
②大きくなりすぎたり、崩れた形を元に戻す「切り戻し」
③ゴムの木の増やし方(番外編)
5-1.健全な生育を促す「植え替え」
日光条件がよくて、水やりもきちんと行っているのに、ゴムの木の葉色が悪くなってきたり、元気がなくなってきているようであれば、植え替えを検討してください。
まず植え替えが必要かどうかを知るために、以下の状態になっているかをチェックしましょう。
・鉢に対して株が大きく生長しバランスが悪くなっている
・購入して2年以上経過している
・鉢底の穴から根が張り出している
・水を与えても土にしみ込んでいかない
一つでもチェックがつけば植え替えのタイミングです。
ゴムの木は購入から2年もたてば、鉢の中が根でいっぱいになってしまいます。
鉢の中で根でいっぱいになると、土の中の酸素が不足し、根が腐ったり、土の中の養分が不足し葉の色が悪くなったりします。
そこで上記のような兆候が見られたときが植え替えのタイミングになります。
また植え替え時に注意するポイントは以下の通り。
・植え替えは適した時期は4月中旬から10月中旬
・観葉植物に最適な土を選ぶ
・ひと回り大きな鉢に植える
この3つのポイントを押さえて植え替えを行ってください。
植え替えの手順についてはここでは割愛します。詳しくは観葉植物の植え替えで絶対に注意しなくてはいけない3つのことを参照ください。分かりやすく写真付きで解説をしています。
5-2. 大きくなりすぎたり、崩れた形を元に戻す「切り戻し」
ゴムの木を長期間室内で育てていると上の写真のように、大きくなりすぎたり、間延びしたみっともない樹形になってしまうことがあります。
そんな時は「切り戻し」を行います。
良く切れる「剪定ばさみ」を用意して、芽を出させたい場所(枝や幹)を思い切ってカットしてください。
その後日当たりの良い場所に置いて管理をしてください。切り口のすぐ下の部分から新芽が出てきます。
ゴムの木はいつの時期に選定を行っても問題ありませんが、適期は春です。
春に切り戻しを行い、日当たりの良い場所に置いていると2か月ほどで新芽が出て、半年程度で葉が出そろいます。
切った部分は次項で紹介する「挿し木」にすることで、新しいゴムの木を増やすこともできます。
5-3. ゴムの木の増やし方(番外編)
ゴムの木は生命力が強いので、観葉植物の中では比較的簡単に増やすことができます。
最もポピュラーな方法は「挿し木」です。
これが一番簡単なゴムの木の増やし方で、初挑戦するにはもってこいの方法です。
挿し木をするときは手順は以下の通り。
① 新しい土、もしくは水苔が入った鉢とハサミを用意する。
②下の写真(左)の点線に沿って斜めにカットし、2~3枚の葉を残します。
ワンポイント: ここでのポイントは斜めに切ってあげる事です。そうすることで水を吸う面積が大きくなり、“根付き”を促進します。この時切り口からベタベタした白い樹液が出るので、雑巾で樹液が止まるまで拭きながら作業を進める。
⑤ 上の写真(右)のようにあらかじめ用意しておいた土入りの鉢の中へ、茎の1/3程度を挿す。
⑥ 水を鉢底から出てくるまでたっぷりと与える。その後、土が乾かないようにすること。
⑦ 風通しがよく、直射日光の当たらない明るい日陰に置いて管理する。
しばらくすると挿した茎の切り口から発根し、根付いていきます。
発根率は適期である4月~10月に行った場合、各種条件にもよりますが、ざっと20~30%ぐらいですので、気長に取り組んでみることをおすすめします。
尚、切り戻しをした後の茎も「挿し木」で増やすことができます。
6.まとめ
ここまでゴムの木(フィカス)について幅広く紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事を最後まで読まれた方は、もうゴムの木のプロと言っても過言ではありません。
インテリア性と強健な性質を兼ね備えたゴムの木(フィクス)はインテリアプランツとしては最適ですので、ぜひいろんな種類にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
身近にゴムの木を飾って、心身ともにのびのびとした生活を楽しんでください。
ゴムの木が元気なくなる。植え替えした方が良いのでしょうか
現状 27センチの鉢植 15年間そのまま 枯れ枝めだつ
加藤様
ゴムの木が元気がないとのことですが、原因は様々で文章からだけでは判断できかねますが、
15年植え替えなしとのことですので、根詰まりをおこしている可能性が高いと考えられます。
鉢から出して根をチェックしてみて、鉢いっぱいに根が張っているようでしたら、
古い根を取り除いてください。
植え替え方法は『観葉植物の植え替えで絶対に注意しなくてはいけない3つのこと』に詳しく紹介していますので
活用してみてはいかがでしょうか。
この記事を楽しく読ませていただき、水遣りの具体的な方法などとても参考になりました。
柏葉ゴムの木(樹高80㎝程)を1年半前に購入しました。樹形はY字でレースのカーテン越し日当たり良しの環境で元気に育っていますが、Y字の片側の方だけ新芽が出てきて、葉っぱが大きくなりすぎるため切っても、暫くするとまた同じところから新芽が出てきます。先日からまた新芽が3cmほどになっています。大きくなる前にどんどん新芽を切ってしまっても大丈夫でしょうか? 株に過分なストレスを与えてしまうようで心配です。
お忙しいところ申し訳ありませんがなにか良いアドバイスがあれば教えて下さい。
川上様
新芽をつけるためには、多くの栄養分とエネルギーを必要としますので、新芽を次々カットするのはカシワバゴム自体にも負担はかかると思います。
新芽が出てくるのはカシワバゴムの状態がよい証拠ですから、片側ばかり葉がつくということでしたら、
鉢を回してまんべんなく日に当たるようにしてみてはいかがでしょう。
そうすれば、Y字の枝両方に葉がついて、バランスもよくなると思います。(片方の枝が枯れてなければですが…)
ゴムの木の枝から根がでてきました。なぜでしょうか?切り取ってしまっていいのでしょうか?
緒方 明美 様
メッセージありがとうございます。
ゴムの木の枝から根が出てくることはよくあることです。
その根のことを「気根」と言い、その根は空気中の養分や水分を吸収する役目や、植物自体のを支える支柱の役目も担っています。
カットしても全く問題ございませんが、可能であればカットせず残してあげた方が植物にとっては良いのかもしれませんね。
とてもわかりやすい記事で、とても参考になりました。目から鱗だらけでした!
2ヶ月前に、アフリカンプリンス(170㎝くらい)を購入し、直射日光の当たらない窓際に置いています。
梅雨になる直前2週間前くらいから、葉に黒い点が現れ、それがどんどん大きくなり黒い点も増え、落ちてしまいます。
毎日、一枚ずつそんな状態が止まらず、10枚くらい落ちてしまい、黒くなった葉が数枚あります。
窓の近くに高い塀があり、すごく明るくはないですが、窓の多い部屋なのでそんなに暗くはないです。風通しはいいと思います。
水やりは1週間に1度くらいでしたが、乾いているのを確認せずやってしまいました。1度ずつメネデールと液体肥料をあげたこともあります。1週間くらい、受け皿に水が溜まっている状態だったこともありました。
葉水もしています。新芽と新葉(色が薄くやけに大きい)は出ています。
原因がよく分からず、頭を抱えています・・
何か問題がありそうな事や改善策があれば教えていただければ有り難いです。
お忙しいところ恐縮ですが、どうぞ宜しくお願いいたします。
大西 様
メッセージありがとうございます。
落葉と葉が黒くなる原因は、恐らく植物自体がご自宅の環境に慣れていないことと、多湿(水の与えすぎ)が原因かと思います。
やはり、観葉植物はどの種においても温室等で生産され、上からもさんさんと光が差すような明るさ、また育成に適した環境で管理されているものです。
そこから室内へと環境が変わる訳ですから明るさ・風通し等しいも著しく低下し、数ヶ月は成長が鈍ると共に痛みが生じることが多いものです。
痛んでしまった葉が再び元にもどることはございませんので、環境に慣れ新たに葉を出す(成長)ことに目をむけられた方が良いかと思います。
記載いただいた通り成長を始めているようなので、環境に慣れてきた証拠です。現在の水遣りサイクルを維持し、大切に育成してあげて下さいね。徐々に落葉もおさまってくるかと思いますよ。
また、新しい葉の色が薄く大きいのは日照不足が考えられます。
対処方法としては、お部屋の中でも日照と風通しを確保できる最善の場所へ移動し、環境に慣れてくれることを待つことでは無いかと思います。
的確なアドバイスができず大変恐縮ですが、大西様のアフリカンプリンスが今後は活き活きと元気に成長してくれることを心よりお祈り致しております。
的確なアドバイスをありがとうございました!
パソコンが壊れサイトが不明になり、先程発見し、メッセージを頂いていることに感激しております!
お礼が遅くなり大変失礼いたしました。
まさに仰る通りの道をたどっております!さすがです!
葉はほぼ生え代わり、大きめの色薄めですが、元気にしております。
大枝に近い葉が殆ど落ち、そこから伸びた新葉が少しずつ成長しているので、少し間延びした風合いになってしまいました。
近所の植木屋さんから、これ以上外に伸びないようにするには、外の新芽を折りるように、そうすると内側の枝からどこからともなく芽が出てきますと言われました。まだ出てきませんが・・
内側から新芽を出すには、もう少し慣れないとだめなのかな、と気長に待っているところです。
観葉植物もなかなか奥が深くて、興味深いです。
東京にはお店はないのでしょうか?もっとお話お伺いしたいです。
石橋様の益々のご活躍、お祈りしております!
本当に有り難うございました!