
インテリア性に優れ、丈夫で育てやすい観葉植物として人気がある「ゴムの木」。
この「ゴムの木」はクワ科・フィクス属に分類される植物で、園芸店でよく見かける「ベンジャミン」や「ガジュマル」、インテリア雑誌でよく紹介される「ウンベラータ」もゴムの木の仲間であるフィクス属です。このようにゴムの木には魅力的な仲間が数多く存在します。
そう聞くと「お洒落なゴムの木ってどんな種類があるんだろう?」、「かっこいいゴムの木を知りたい」、「育てやすいゴムの木の種類を知りたい」、「珍しいゴムの木ってどんなものがあるんだろう」といった疑問が出てくるかもしれませんね。
そこで、今回は厳選したゴムの木の種類を32種紹介します。閲覧しやすいように「インテリア性」、「育てやすさ」、「珍しさ」といったカテゴリーごとで分けていますので、興味のある個所からご覧ください。
また、「せっかくなのでおしゃれに飾りたい」という方のため、ゴムの木をおしゃれに見せる飾り方のコツも併せて紹介します。
1.インテリア性抜群!お洒落なゴムノキの仲間12選
ここではインテリア性に優れ、特に人気が高い種類を厳選して14種紹介します。
1-1.フィカス・ウンベラータ(Ficus umbellata)
ハート形の大きな葉と柔らかな雰囲気で非常に人気が高いウンベラータ。インテリア雑誌でもたびたび紹介され、フィカス系では人気・知名度ともにトップクラス。
熱帯アフリカ原産で、フィカス系では若干寒さに弱く、10度を下回ると葉を落とし始めます。気温が上がり始めると、次々と新芽がでてきます。
生長が早いため、購入前に『購入前に要確認!観葉植物ウンベラータの失敗しない選び方』を読んでおきましょう。
1-2.ベンジャミン(Ficus benjamina)
爽やかで光沢のある葉っぱが魅力的なベンジャミン。東南アジア原産で、インドやネパールの原生地では、「聖木」として扱われています。
成長した緑色の葉と新芽の黄緑の葉のコントラストも美しく、どんなインテリアにも合わせやすいため、古くからインテリアプランツとして人気があります。
種類も豊富で葉の細いもの、斑入り、黄味がかったもの、枝垂れやすいものなどがあり、トピアリー仕立てなどにもされています。
飾り方については『観葉植物ベンジャミンの魅力を最高に引き出す飾り方』に掲載しておりますので、参考にしてください。
1-3.ガジュマル(Ficus microcarpa)
精霊が宿っている幸福の木として「ガジュマル」もゴムの仲間です。
生長するにしたがって、幹の途中から気根を出しユニークな樹形に。株元がタコの足のようになることから「多幸(たこう)の樹」とも呼ばれています。
1-4.ベンガレンシス(Ficus benghalensis)
ゴムの木(フィクス)の中でも人気が高い品種で、TVのCMなどでもよく使われています。楕円形の葉に入る美しい葉脈が魅力的で、太い気根を多く出すのも特徴。「ベンガルボダイジュ」や「ベンガルゴム」とも呼ばれます。
1-5.アルテシーマ・バリエガタ(Ficus altissima Variegata)
こちらも黄色と若緑色のコントラストがとても色鮮やかなアルテシーマ・バリエガタ。園芸店などでは「アルテシーマ」の名前で流通しています。原種は深い緑色の葉を付けますが、あまり市場に出回ることはありません。日光が大好きで日当たりの良い場所に置くと発色がよくなります。日陰に置くと幹がだらしなく伸びる「徒長」をおこし、葉の色も悪くなってしまうのでご注意を。
※バリエガタとは…斑入り戸言う意味で葉の突然変異により、色素が抜け白や黄色などの模様が入ること。
1-6.フランスゴム(Ficus rubiginosa)
小ぶりで丸みを帯びた葉がかわいらしいフランスゴム。幹を曲げた「曲り」と呼ばれる商品が特に人気が高く、インテリア雑誌などでよく紹介されています。
1-7.アサヒゴム(Ficus elastic Asahi)
インドゴムの木から生まれた突然変異種で、葉の周縁部に細く白乳色の斑が入ります。優しい色合いでインテリアとしても人気があります。
1-8.デコラ・トリコロール(Ficus elastica Decora Tricolor)
デコラゴムの枝変わりから生じた品種。葉の中央が緑で周囲が灰緑色、外側に大きく乳白色の斑が入っています。アサヒゴムとよく似ています。
1-9.エラスティカ・ジン(Ficus elastica Gin)
こちらもインドゴムの木の改良品種。しなやかで美しい葉が女性的な印象。ゴムの木(フィクス)でこのように優しい雰囲気をもっているのはエラスティカ・ジンくらいではないでしょうか。
1-10.ティネケ(Ficus elastica Decora Tineke)
バーガンディの枝変わり種である「ティネケ」。「デコラ トリコロール」「アサヒゴム」によく似ており、比べてみてもあまり違いが分かりません。それぞれ突然変異の矮性種で、派生元が異なります。
1-11.ベリーズ(Ficus elastica Belize)
目に飛び込んでくる赤い葉が大変印象的で観賞価値の高い品種。日光によく当てると発色がよくなります。別名「赤ゴム」とも呼ばれています。
1-12.フィカス・ベルベット(Ficus mysorensis var.velvet)
ジャワゴムノキからの変異種で新芽や新葉がベルベット状の軟毛に覆われることからこの名前が付きました。
ブラウンがかった幹と深いグリーンの葉色がシックな雰囲気を演出してくれます。
2.育てやすいメジャーなゴムノキの7選
ここでは特に丈夫で一般的に知られるゴムの木を紹介します。どれも丈夫な性質を持っているため、初心者にも育てやすく、入門種としては最適です。
2-1.インドゴム(Ficus elastica)
鑑賞用ゴムノキの基本となる品種「インドゴムの木」。このインドゴムの木の突然変異や品種改良により、様々な園芸品種が生まれています。
2-2.デコラゴム(Ficus elastica Decora)
インドゴムノキの枝変わりによってできた品種。濃緑色の葉は肉厚で大きく丸みがあります。非常に丈夫で繁殖力旺盛。最もよく見かけるゴムの木でもあります。
2-3.バーガンディ(Ficus elastica Burgundy)
別名「クロゴム」「アビジャン」「ロブスタ」とも呼ばれ、葉が赤黒味を帯び鮮やかなバーガンディ。強い太陽光下でより色が冴えます。品種名のバーガンディとは「ブルゴーニュ産の赤ワイン」の意味があるとか。
2-4.フィカス・ロブスタ(Ficus elastica ‘Robusta’)
インドゴムの枝変わり種。性質はインドゴム同様に強健です。
2-5.アポロゴム(Ficus elastic Apollo)
凹凸がついた立体感のある葉を持っています。ダークグリーンの色合いもシックで、モダンインテリアによく合います。
2-6.カシワバゴム(Ficus lyrata)
葉の形状がカシワの葉によく似ていることから、この名前がつけられました。濃緑色で大きく波打つ葉は存在感があり、こちらも非常に丈夫。国内より欧米の方で特に人気が高く。ベーシックなインテリアプランツとして親しまれています。
2-7.ショウナンゴム(Ficus binnendykii )
細長い葉が下垂してつく姿が魅力で、涼しげな印象を与えてくれます。耐陰性があるため、比較的暗い場所でも葉が落ちにくいことから、初心者にもおすすめできます。和洋問わず良く合うため、インテリアプランツとして重宝します。
以前はフィクス・イレグリアス(Ficus irregularis)の学名で知られていましたが、誤用と判明しフィクス・ビンネンディキー(Ficus binnendykii)の名前に変わりました。
3.希少価値が高いゴムの仲間10選
ここでは園芸店ではなかなか見かけない珍しい種類について紹介します。高価ではありますが、おしゃれなものも多く、見かけたらぜひ手に入れたいところ。
3-1.アフリカンプリンス(Ficus AfricanPrince)
「カシワバゴム」に似ていて、とても大きくダイナミックな葉が印象的なアフリカンプリンス。数年前に輸入規制がかかり、国内生産者も限られるため希少種になってきました。
3-2.ジャワゴム(Ficus drupacea)
ベンガレンシスに似た葉を持つジャワゴム。茎や葉に微毛があるのが特徴。耐寒性に優れ3℃まで耐えられるので、室内であれば容易に越冬できます。流通量はそれほど多くありません。
3-3.フィカス・リラータ “ バンビーノ” Ficus lyrata “Bambino”
カシワバゴムの葉が小型になった変異種。葉はダークグリーンで皮のような質感があり、シックな雰囲気を演出してくれます。耐陰性・耐寒性にも優れているのでインテリアプランツとして優秀。生産量が少ないため、珍しい部類に入ります。
3-4.フィカス・ブラウン(Ficus sp. ‘Braun’)
もともとは希少種だったのですが、丈夫な性質と観賞価値の高さから、「フィカス・グランディス」という名称で商品化され、2005年~2007年ごろから沖縄で大量に生産されました。近年「フィカス・ブラウン」と流通名を変えています。
ブラウンかかった葉と、はっきりした葉脈が特徴で、インテリア性は抜群。まだまだ高値で取引されていますが、コレクションに加えたくなるゴムの木です。
3-5.フィカス・キアティス(Ficus cyathistipula)
南アフリカ原産で、葉が小さく細いゴムの木。葉は肉厚で光沢があります。耐寒性・耐陰性に優れ、5℃まで耐えることができます。流通量はそれほど多くはありません。
3-6.クリシュナボダイジュ(Ficus benghalensis Krishnae)
ベンガレンシスの改良品種。波状にうねった葉が何とも印象的で、デザイン性に富んだゴムの木。希少種なので見つけたら即買いです。
3-7.インドボダイジュ(Ficus religiosa)
ハート型で先端が長く伸び、他のゴムの木に比べ葉が薄いのが特徴。三大聖樹(仏教三霊樹)の一つ。原産地では気根が他の木に巻き付き最後にはその木を絞め殺してしまう「絞め殺しの木」として知られています。
3-8.ペティオラリス(Ficus petiolaris)
「ウンベラータ」に似ており、葉はハート形で赤い葉脈や葉柄がとても美しい「ペティオラリス」。基部がふっくらと膨らむのも特徴です。生長が非常に遅く、希少価値が高い。
3-9.トライアンギュラリス(Ficus triangularis)
肉厚で三角形状の葉が特徴のトライアンギュラリス。ゴムの木(フィクス)の中でも特に乾燥に強い。
3-10.フィカス・マクロフィラ(Ficus macrophylla)
画像参照:e-RAN
耐寒性に特に優れ、0℃前後まで耐えられます。また耐陰性もあり、日陰での育成も可能。
国内での流通量は少なく、希少価値がある観葉植物でもあります。
下の写真は自生地での迫力の姿。
自生地の生長した巨木と鉢植えのギャップが大きいのですが、現地のマクロフィラは原種で、鉢植えは園芸品種といわれています。
映画「ジュラシックパーク」で、フィカス・マクロフィラの根元から恐竜の卵を発見する場面が流れます。
4.目からうろこ!これもゴムの仲間
一見ゴムの木に見えないような植物もいくつかありますので、ここで3種類紹介しておきます。
4-1.サギッタタFicus sagittata (=F.radicans)
茎は細く匍匐性で、プミラを大型にした感じの吊り鉢向き種。葉は長さ5cm程度で、先端は尖り、表面はやや凹凸があります。出回っているのは園芸品種のバリエガータで、葉は灰緑地に黄白色の斑が不規則に入ります。最近人気が出てきた種類です。異名のフィカス・ラディカンスの名前で流通している場合が多いようです。
4-2.プミラ・サニーホワイト(Ficus pumila Sunny White)
卓上サイズのミニプランツとして人気がある「プミラ」。園芸店などでよく見かけますが、実はこれもゴムの仲間。
比較的、耐陰性・耐陰性があるため、育てやすい卓上サイズのミニプランツです。縁に白斑が入らないタイプもありますが、そちらの方がさらに耐陰性に優れています。
4-3.フィカス・シャングリラ
流通名は『フィカス・シャングリラ』。“つる性のガジュマル”として知られています。
台湾原産の固有種で、艶のある小さな葉っぱが可愛らしく、寒さに強いのが特徴。生産者が限られ流通量も少ないため現在は希少種といえますが、今後増えてくるかもしれません。
5.センス抜群!ゴムの木をカッコ良く飾る4つの方法
ゴムの木(フィクス)は葉の形状・色・樹形が様々で、そのどれもが独特の個性と存在感を備えているので、見る人の目を楽しませてくれます。また観葉植物の中でも特に丈夫な性質を持っているため、おしゃれなインテリアプランツとして非常に優秀です。
ここではそんなゴムの木(フィクス)の魅力を引き出す飾り方を4つのシーン毎にまとめました。
5-1.出窓や棚の上
ゴムの木(フィクス)はスモールサイズであっても十分な存在感を持っています。出窓や棚の上・卓上など、目線に近い高さに飾ることで、より存在感が際立ち、殺風景な空間を潤いのある空間に変えてくれます。
5-2.リビング編
リビングにはゴムの木(フィクス)のビッグサイズをシンボルツリーとして飾るのがベスト。存在感のある一鉢に絞り込んでダイナミックに飾ることで、メリハリが効いた空間になります。
空間に限りがある部屋に飾るときは、ミドルサイズのゴムの木(フィクス)がおすすめです。その際には葉や樹形にしっかりこだわりたいところ。こうすることで圧迫感を与えることなく、存在感のあるグリーンがセンスの良い空間を演出してくれます。
「少し高さが足りないな」と感じたり、壁の“抜けた空間”が気になるときは、台の上に飾ったりスタンド付の植木鉢に植えこんで高さを調整してください。一度設置してみたら、少し離れてバランスを見て、しっくり来る高さを探してみましょう。
5-3.ゴムの木をキッチンやダイニングで楽しむ
ゴムの木(フィクス)は良くも悪くも存在感があるため、ダイニングスペースにゴムの木(フィクス)を飾る場合も1本に絞り込み、部屋の隅に配置するといいですね。そうすることで自然な緑の背景を作り出し、憩いのひと時を更に演出してくれます。
5-4.玄関
来客を出迎える‘ウェルカムプランツ’としても優秀なゴムの木(フィクス)。存在感があるため、玄関を開けると真っ先に視線が向かう“アイストップ”としても効果バツグン。パーテーションとしての機能もあり、プライバシー保護の観点からも効果的です。
また、日当たりの悪い玄関でもゴムの木(フィクス)はよく耐えてくれます。もちろん真っ暗な場所では日光不足で枯れてしまいますので、週3~4日は日当たりの良い場所で日光浴をさせてください。
これは海外の玄関先。大きく育ったゴムの木はインパクトあり過ぎ。ウェルカムプランツというよりシンボルツリーですね。
国内では九州南部あたりでこういったゴムの巨木を見かけます。関東以北では越冬が難しいかもしれませんね。
6.まとめ
ここまで数あるゴムの木の仲間と飾り方について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
結構なボリュームになったので、図鑑としても活用できるかもしれません。
尚、ゴムの木の仲間は育て方や性質が似通っていますので、どれか一種類育てることができたら、同じ方法でそのほかの種類も育てることができます。徐々に幅を広げて様々な種類に挑戦していくといいでしょう。その際は「センス抜群!ゴムの木をカッコ良く飾る4つの方法と育て方 」を参考にしてください。
コメントはこちらからどうぞ