多肉植物の中でもひときわ目を引く存在の「ハオルチア」。
まるでガラス細工のような澄んだ美しさを持つ品種や、縞模様ととがった葉でシャープな雰囲気を持つ品種など、種類も豊富で、最近では花屋さんや雑貨店でもよく見かけるようになりました。
その際立った存在感に魅力を感じ、購入した人も多いのではないでしょうか。
ただ販売店では「ハオルチア」としか表記されていないことが多く、「見た目が全く違うけれど、同じ植物なの?」、「ハオルチアの中でもなんという種類だろう?」と感じる方も多いかもしれませんね。
そこで、今回はハオルチアの中でも一般的で、特に人気ある種類を50種に絞って紹介します。
基本的に市場で出回っているタイプは網羅されていますので、詳しい名称を知りたい方は是非参考にしてください。
また、この記事では、いきなり種類に入るのではなく、まず「ハオルチア」の大まかな特徴や分類を説明していきますので、興味がない方は飛ばしてもらって結構です。
ぜひお好きなところから読まれてください。
1.ハオルチアの特徴
南アフリカにのみ自生するハオルチアは、ツルボラン科(ユリ科)、ハオルチア属の植物で約500種の種類が存在すると言われています。

現在でも様々な交配種がかなり多く出ている為、実際はそれ以上の種類が存在しているといわれています。

上の写真は原産地、南アフリカの様子です。乾燥した大地の岩の間などにひっそりと潜んで生息している様子が見て取れますね。

春頃(2月から6月)になると、花芽を高く伸ばし、小さな白や淡いピンクの可愛らしい花を咲かせてくれます。
また、見た目のバリエーションの豊富さから、コレクターも多く、希少価値の高い種類は高額で取引されることもあります。
2.ハオルチアの分類
ハオルチアには大きく分けて、軟葉種(葉がやわらかいもの)と硬葉種(葉が硬いもの)の2種類に分類されます。
2-1.軟葉系

淡い白色に透けた葉が魅力的な”軟葉系”ハオルチア。
葉の形や色彩が変化に富み、光を取り込むための透明な部分を「窓」と呼びます。
”硬葉系”よりも葉がより多肉質で、太く短くなっています。
”硬葉系”との最大の相違点は花の形状が挙げられます。
2-2.硬葉系

葉が堅くアロエの様なシャープなフォルムを楽しむ”硬葉系”。
葉先の尖った形状で密に重なった葉が放射状に展開し、幾何学的で整った株姿になるのが魅力です。また、その葉先の尖った部分は「ノギ」と呼ばれます。
このように、同じハオルチアでも「軟葉系」と「硬葉系」では、見た目が全く異なる特徴を持っており、それがハオルチアの奥深い魅力になっているようです。
3.ハオルチアの種類
ここからは実際のハオルチアの紹介に入りますが、「軟葉系」と「硬葉系」そして「斑入り種」といったタイプ別に紹介をしていきます。
3-1.軟葉系
3-1-1.万象(マンゾウ)
表面を平らに切ったような葉が特徴。自生地では外敵から身を守る為、土の中にもぐり葉の表面を地表に出し、そこから光を集め生きています。
3-1-2.ベヌスタ
葉の表面から、白く伸びた毛が特徴。手頃なものから、高額なものまで、さまざまな交配種があります。
3-1-3.ピリフェラ
葉先の柔らかいノギが特徴。同品種でもノギが長いものや短いものがあります。
3-1-4.ボルシー
葉から出ている柔らかいノギが、包みこむように、丸く形成されていくという特徴を持っています。
3-1-5.キンビフォルミス
柔らかな黄緑色の葉が特徴。子吹きしやすく、手に入れやすい品種です。
3-1-6.スプレンデンス
赤黒い肌が特徴的。スプレンデンスでもさまざまな種類があり、コレクターにも人気が高い品種です。
3-1-7.オブツーサ
ハオルシアの中でも特に人気の品種で、”キラキラ””ぷくぷく”しています。
他にも白黄色の斑が入ったオブツーサ錦など、様々なタイプがあります。
3-1-8.玉扇(ギョクセン)
ハオルシアの中での有名品種で、多肉質の葉が扇を広げているような形をしています。葉を切断しているようで不思議な形をしています。
この断面は光を取り込みやすいレンズの役割を果たしており、土に潜ったまま光合成ができるように進化した姿でもあります。
3-1-9.チョコレート
見た目の通り、チョコレートのような色から名付けられた品種です。このチョコレートと毛蟹の交配種で「ショコラ」という品種もあります。
3-1-10.セミビバ
葉の縁に細い毛のようなものが生えていて、全体的にモサモサしているのが特徴です。
写真では分かりづらいですが、丸くつくってあげるのがベストな形だとか。
3-1-11.毛蟹(ケガニ)
ハルオシアの中には、日本でできた種も多くありますが、その代表的なものが「毛蟹」です。見た目はまさに毛蟹みたいで、葉の表面が毛羽立っています。
3-1-12.レツーサ アクミネイタホワイトゴースト
アロエに似た希少種です。葉先が尖っていてすっきりとした印象です。レツーサには、ほかにも「寿(ことぶき)」という品種があり、美しい斑が入ります。
3-1-13. ピグマエア
写真は葉の面が荒いもので、全体的に少し白っぽく見えます。葉の面が滑らかなものもあります。ふっくらした感じがとても可愛らしい品種です。
3-1-14.黒肌オブツーサ
オブツーサの少し黒みがかった色の品種です。写真では分かりづらいですが、透明度が非常に高いのも特徴です。
3-1-15. ハイデルベルゲンシス
見た目はアロエに似ていて、尖った葉がロゼット状に広がっていて、落ち着いたやさしい色が特徴です。
3-1-16.ロックウッディー
見た目は玉葱みたいで、ハオルシアの中でも異色種です。葉先の白い部分は乾燥して枯れた状態です。その枯れた葉先で太陽の強い光を防いでいます。
3-1-17. コンプトニア
肉厚で透明度が高いのが特徴です。さまざまな葉面の線(模様)があり、亀の甲羅みたいに存在感を際立たせています。
3-1-18.プラニフォリア
葉がロゼット状に広がっていて、葉幅が広いタイプです。鮮やかで優しいグリーンが特徴です。
3-1-19. バデア
窓の模様や質感など様々なタイプがあり、ハオルチアの中でも人気が高い種です。他のハオルチアの仲間に比べると成長も遅く、育成にはそれなりの技術が必要になります。
3-1-20.キンビフォルミス
産地が多く、地域ごとに様々なタイプがあります。葉幅は幅広いものや細長いものなど多様です。見た目が色鮮やかで可愛らしい姿をしています。
3-2.硬葉系
3-2-1. 十二の巻(ジュウニノマキ)
細長くとがった葉の外側に白色の縞模様が入っているのが特徴で、その葉は放射状に伸びていきます。
3-2-2.五重の塔(ゴジュウノトウ)
名前の通り、五重の塔のような姿をしています。葉は濃い緑色。
3-2-3.スカブラ
ざらざら・ぶつぶつとした粗い表面に、渋い質感や色味が特徴の品種。
成長は非常に遅く、段に重なるもの、階層化するもの、カーブを描くもの、直立するものと、形は様々です。
3-2-4.ソルディダ
ごつごつとした灰緑色の葉を持った品種。こちらも渋い見た目が特徴です。
3-2-5.リミフォリア・瑠璃殿(ルリデン)
肉厚で濃い緑色の葉はざらざらとしていて、横縞模様が入ります。螺旋状のシルエットが特徴です。
3-2-6.九輪塔(クリントウ)
花のような形をした葉が塔のように連なって伸びていくのが特徴です。
3-2-7.冬の星座(フユノセイザ)
濃い緑色の葉に、白色の点で横縞模様が入ります。
3-2-8.天使の泪(テンシノナミダ)
葉に入る模様の白い線が、流れる泪(なみだ)のように見えることに由来します。
3-2-9.竜鱗(リュウリン)
その名の通り竜の鱗(ウロコ)のような網目模様が入った葉が特徴です。塔のように連なって成長していきます。
3-2-10.ニグラ
nigra(ニグラ)には「黒質の」という意味があるように、黒みがある葉をしています。その葉はイボがありざらざらとした質感をしていて、塔のような形で成長していきます
3-2-11.グラウカ
鋭く長く伸びる葉が塔のように連なっていきます。
3-2-12.プミラ“ドーナツ”
よく見ると白いドーナツ型の模様が入っています。このドーナツ模様の入る種は手に入りづらく、希少価値があります。
3-2-13.錦帯橋(キンタイキョウ)
葉には模様とぶつぶつがあり、錦帯橋のようなアーチを描く葉の容姿が特徴です。
3-2-14.松ノ雪(マツノユキ)
雪が降り積もったような美しい見た目から由来しています。ハオルチア・アテナータと呼ばれることもあります。
3-2-15.ストリアータ
和名では「瑠璃殿(ルリデン)」とも呼ばれるストリアータ。大きいものでは20㎝ものサイズになります。
3-2-16.コエルマニオーラム
独特な模様の持ち主のコエルマニオーラム。半硬葉系として分類されることもあります。
3-2-17.ブレンシー
ハオルチアの中では小型のブレンジー。同種でも濃い緑色や白のラインが入るものがあります。
3-2-18.キンギアーナ
ぷっくりとした幅広な尖った葉を持つキンギアーナ。個体によって、見た目に差があることも特徴です。
3-2-19.瑞鶴(ズイカク)
シャープで涼しげな姿が特徴の瑞鶴。白の模様が入る「白瑞鶴」と言う品種も存在します。
3-2-20.スターキアナ
和名では「風車」と言い、画像では分かりづらいですが、一定方向へ葉が回っている姿がまさに風車そのもの。
3-3.魅惑の斑入り種
3-3-1.ブラックオブツーサ錦
ブラックの中に入るオレンジ斑が、まるで宝石のような輝きを放つ品種。かなり高価な為、なかなか手に入りにくい品種です。
3-3-2.静鼓錦(セイコウニシキ)
玉扇と寿の交配種。濃い緑色の肌に、綺麗な黄色の斑が入る大変美しい品種。
3-3-3.万象錦(マンゾウニシキ)
万象自体、非常に成長が遅く、その上斑が入っている為、希少価値が高く高価です。
3-3-4.コレクタ錦
鮮やかなオレンジ色の斑が入っているコレクタ錦。園芸店等でも見かけることは少ないので、見つけたら迷わず購入したいところ。
3-3-5.ムチカ錦
スジが綺麗に入る特徴的なムチカ錦。ムチカ自体、ムッチムチの大株にならないと特徴が出ないようです。
3-3-6.十二の巻錦(ジュウニノマキニシキ)
斑が入るとより美しくなる硬葉系ハオルチア。この品種はこれまでご紹介した品種よりは流通量が多い為、比較的安価で入手できると思います。「十二単衣」と「竜の巻」の交配種の斑入り種。
3-3-7.玉扇錦(ギョクセンニシキ)
特徴的な葉やレンズの形で人気の品種。以前は斑の色が、赤みがかった薄い黄斑が多かったようですが、最近では交配が進み、鮮やかな濃い黄斑の玉扇錦が流通しています。
3-3-8.瑠璃殿錦(ルリデンニンシキ)
瑠璃殿錦の種類は、古くから栽培が盛んにおこなわれるほど、愛好家に根強い人気を誇っています。
触り心地が爬虫類に似ている事も人気の1つなのかも知れませんね。
3-3-9.ピクタ錦
レンズと白斑と赤みがかった斑のバランスが美しいピクタ錦。
ピクタと言えばドーム型がとても人気がありますが、ドーム型を維持するのはとても難しいようです。
もし購入の機会があったらドーム型を挑戦してみてはいかがでしょうか。
3-3-10.ピクタ錦
葉の先端へと繋がる透明窓と、白斑と筋のコントラストが美しい人気の品種。
夏ごろは斑が薄くなりますが、秋ごろには美しい白斑が復活してきます。
4.まとめ

いかがでしたでしょうか。
特徴的な見た目で人気がある「ハオルチア」ですが、しばらくブームは続きそうですので、ぜひ購入した際には、この記事を参考に、ぜひ名称まで覚えてみてください。
きっと多肉植物の新しい世界が広がっていくと思います。
もし、わかりましたら、教えて下さい。
多肉植物で、ハオルチアで、フーイリと言う品種は、ありますか?
オーレ 様
メッセージありがとうございます。
私どもの知る限りではハオルチアの「フーイリ」と言う品種は存知あげません。
お力になれなくて申し訳ないです。
因みに、近い呼び名で、葉に黄色や白の「模様が入る」種のことを「斑入り(フイリ)」と呼びます。
ご参考になれば幸いです。
そちらに多肉植物のグラウス置いてませんか?
竹花 様
メッセージありがとうございます。
エケベリア・グラウスは弊社には現在お取り扱いはございません。
竹花様のお力になれず誠に申し訳ございません。
ネットショッピングで検索してみたのですが、いくつか販売されていらっしゃるところを見つけることが出来ましたので、
お時間があれば一度お探しになられてみて下さい。