
園芸店などで見かけると思わず足をとめ、独特でユニークなそのフォルムに思わず見とれてしまう、今や密かに人気を博しているコウモリラン。その人気とは裏腹にコウモリランの種類は意外と知られていません。
園芸店で見かけても、見た目が似ていて違いが分からなかったり、種類が分からず育て方を調べることができないといった悩みもしばしば耳にします。
そこで、ここでは大きな写真付きで、コウモリランの原種を一挙に18種類を紹介します。是非参考にしてみてください。
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コウモリランの育て方『立派な株に育つコウモリランの育て方4つのポイントと株分け方法』
1. コウモリラン種類~森の王冠、ジャングルの女王など原種全18種~
コウモリランは「蘭」の仲間ではなく「シダ」の仲間で、ウラボシ科・ビカクシダ属の植物で、他の木や岩石などにくっついて生活する“着生植物”です。
一般的にはコウモリランの名前で流通していますが、学名ではプラティケリウム“platycerium”、和名では「麋角羊歯(ビカクシダ)」と言います。
コウモリランには過酷な環境下で生き抜くために独自の進化を遂げた驚くべき特徴があります。詳しくは『コウモリラン~独創的なフォルムを活かした最高にかっこいい飾り方~』をご覧ください。
このコウモリラン、近年様々な交配種が生まれていますが、原種は18種類で、アフリカやマダガスカル、東南アジア、太平洋諸島、オーストラリア、南アメリカの熱帯地域と世界に幅広く分布し、地域ごとで異なる性質を持っています。
ここではその地域別のコウモリランの種類を紹介していきます。
下に地域別の品種区分表を掲載します。
※学者の間ではオーストラリアの4種をP. bifurcatumとして呼ぶこともあります。
学名で表記されると何が何だかわかりませんね。大きく分けるとこの4か国にコウモリランが自生しているんだ、ぐらいの認識で十分です。
ちなみに一般の園芸店で見かけるコウモリランは、ほとんどがオーストラリア産のビフルカツムと呼ばれる品種です。
稀にその他の種も見かけますが、希少性が高く、高価なものがほとんどで、一部の愛好家やマニアの方がインターネット販売やオークションを通じて取引をしています。
そんな希少なコウモリランの原種をすべて見ていきましょう。普段お目にかかれないので面白いですよ。
1-1.南アメリカ産1種
1-1-1.プラティケリウム・アンディナム(P. andinum)
南米唯一の原種。高地に分布しているため、日本の冬の寒さにも比較的対応できるようです。大きさは最大で2m程度まで成長するそうです・・・
1-2.アフリカ・マダガスカル産6種
1-2-1.プラティケリウム・アルシコルネ (P. alcicorne)
一見、ビフルカツムによく似ていますが、違いは、※貯水葉は丸くふちの部分に切れ込みが見られません。※胞子葉はアルシコルネのほうが、幅が狭く切れ込みが強いです。
寒さには比較的強いですが、念の為10℃以下にならないほうが良いでしょう。
※貯水葉、胞子葉については『コウモリラン~独創的なフォルムを活かした最高にかっこいい飾り方~』を参照ください。
1-2-2.プラティケリウム・エリシー(P. ellisii)
マダガスカル原産の種。やや高温多湿を好むようです。深緑の胞子葉が魅力。
1-2-3.プラティケリウム・ステマリア(P. stemaria)
アフリカの中央部、西部に分布しており、幅が広く、深緑の胞子葉を持つコウモリランです。
1-2-4.プラティケリウム・エレファントティス(P. elephantotis)
アフリカの熱帯雨林のやや乾燥した地域分布しています。特徴は胞子葉でその形が「ダンボ」に似ていることが名前の由来です。
コウモリランの中でもあまり耐寒性がないので、やや栽培が難しい部類に入ります。
1-2-5.プラティケリウム・マダガスカリエンセ(P. madagascariense)
貯水葉に入る格子のような模様が特徴の種。この模様がマダガスカリエンセの最大の魅力とも言えます。水が大好きで常に湿らせる状態を保って管理します。
1-2-6.プラティケリウム・クアドリディコトマム(P. quadridichotomum)
マダガスカル島に分布しており、胞子葉が2回切れ込み、4つになることが名前の由来とされています。
1-3.東南アジア産7種
1-3-1.プラティケリウム・スペルブム(P. superbum)
「気高い・上品」という意味のスペルブム。スパーバムという名前でも流通しており、スペルブムは日本の寒さ、暑さにも強くコウモリランの中でも管理しやすいのが本種の特徴です。
1-3-2.プラティケリウム・ホルタミー(P. holttumii)
日当たりが良く、高温で風通しが良い環境でなら2m程度まで成長する大型のコウモリラン。大型になった本種は圧巻です。
1-3-3.プラティケリウム・グランデ(P. grande)
「森の王冠」といわれるグランデ。本種も大型のコウモリランで、胞子葉はある程度の大きさにならないと出ないそうです・・・
1-3-4.プラティケリウム・ワンダエ (P. wandae)
コウモリランの女王と呼ばれる本種。現地では斜め前へ伸びた貯水葉へ、木から落ちてきた水分を溜めこんでいます。
1-3-5.プラティケリウム・ワリチー (P. wallichii)
コウモリランの中で成長期・休眠期がハッキリ分かれているので、冬場の管理を注意する必要があります。
1-3-6.プラティケリウム・コロナリウム (P. coronarium)
「王冠をまとった」という意味のコロナリウム。貯水葉が冠(クラウン)の形に似ていることが由来です。
貯水葉も個性的ですが、胞子葉も特徴的で切れ込みが多く、下へ垂れ下がります。
1-3-7.プラティケリウム・リドレイ(P. ridleyi)
コウモリランの中では人気№1を誇るリドレイ。ただ高価です・・・何といってもこのシワシワ模様の貯水葉の形です。
1-4.オーストラリア産4種
1-4-1.プラティケリウム・ウィリンキー (P. willinckii)
ジャワ諸島原産の本種。貯水葉を下に伸ばし葉が細いのが特徴的で、見る角度によっては銀白色に見えて大変綺麗です。
乾燥にも強く繁殖力も強い為、育てやすい種と言えます。
1-4-2.プラティケリウム・ビーチー (P. veitchii)
ビーチーの特徴は胞子葉にあり、葉は長く切れ込みが深く細くなっています。さらに葉の色が綺麗な銀色をしています。
耐寒性は他のコウモリラン同様10℃以上は保ちたいところですが、真夏の暑さの方が要注意です。
1-4-3.プラティケリウム・ビフルカツム (P. bifurcatum)
コウモリランの中でも最もポピュラーな品種。園芸店など流通しているコウモリランはこのビフルカツムが多いです。日本でも無霜地帯の家の庭木に着生していたりと、寒さ・暑さにも強く、環境適応が優れている為、管理は容易な部類に入ります。
1-4-4.プラティケリウム・ヒリー(P. hillii)
オーストラリア北部に分布し、ビフルカツムに非常に似ています。違いは貯水葉がビフルカツムよりも縁の切れ込みが浅いことでしょう。胞子葉はより幅広でそれほど長くなりません。管理はビルフカツム同様、容易な部類に入ります。
これらのコウモリランの育て方については『立派な株に育つコウモリランの育て方4つのポイントと株分け方法』を参考にされるとよいでしょう。
また、コウモリランの飾り方のテクニックをまとめた『コウモリラン~独創的なフォルムを活かした最高にかっこいい飾り方~』に目を通しておかれると、飾り方にも幅が広がるため、よりお洒落なインテリアを楽しむことができるでしょう。
2.まとめ
普段なかなか目にすることがないコウモリランの原種を全18種紹介してきました。
この記事を読めば図鑑は必要なくなります。種類がわからず迷った時はぜひこの記事を参考にしてください。
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