
刀剣状の鋭い葉が特徴の「ユッカ」。そのシルエットの美しさからマニアの方も多く、希少価値の高い種類は高値で取引をされています。実際「ユッカ」には美しい種類が数多く存在しており、そのどれもが魅力的。
シルエットが美しいものから巨大でインパクトがあるものまで様々です。
ここでは「ユッカにはほかにどんな種類があるんだろう。」、「かっこいいユッカの種類を知りたい」、「レアなユッカを持っているけど詳しい種類がわからない」といった悩みをがある方のために、ユッカの代表的な種類、希少価値の高い種類、国内流通がほぼない種類にわけて紹介します。
初心者からマニアまで幅広いファンを持つユッカの奥深さに触れてみてください。
1.一般的なユッカとちょっと珍しいユッカの種類6選
ここでは一般的なユッカやちょっと探せば手に入ったり、園芸店でも時々目にする種類を紹介します。
1-1.ユッカ・エレファンティペス(Yucca elephantipes)
基本的に「ユッカ」という名称で園芸店で販売されているのがこの“エレファンティペス”。『青年の木』とも呼ばれます。
乾燥に強く水やりの手間があまりかかりません。耐寒性にも優れ0℃まで耐えられます。日光を好みますが耐陰性もあるため、日陰での管理も容易。パッと見あまり派手な姿はしていないのですが、育てやすいインテリアプランツとしては非常に優秀な種類です。
大きくなると株がプックリと太くなるのが特徴で、‶エレファンティペス″という名前は株元がゾウの足に似ていたことから名付けらています。
上の写真が生長したユッカの株元。確かにゾウの足に似ていますね。
1-2.ユッカ・エレファンティペス斑入り(Yucca elephantipes variegata)
1-3.ユッカ・エレファンティペス・シルバースター(Yucca elephantipes Silver Star)
左の写真はユッカ・エレファンティペス斑入り、右の写真がユッカ・エレファンティペス・シルバースターです。それぞれエレファンティペスと同じ種で、葉に斑が入った品種。涼しげな色合いが人気で、インテリア性に富んでいます。
性質はエレファンティペスの原種に比べると若干弱いのですが、それでもインテリアプランツの中では丈夫な部類に入ります。園芸店で見かけたらぜひ手に入れたいところ。
1-4.ユッカ・アロイフォリア (Yucca aloifolia)
1-5.ユッカ・アロイフォリア斑入り (Yucca aloifolia variegata)
左の写真がユッカ・アロイフォリア。右の写真がユッカ・アロイフォリアの斑入り種です。葉の枚数が多い事やアロエの様な葉をしていることから、‶アロイフォリア″の名前が付いたと言われています。
エレファンティペスよりさらに耐寒性、耐暑性、耐乾性に優れているため庭園樹向きです。園芸品種が多いのも特徴です。
1-6.ユッカ・デスメティアーナ (Yucca desmetiana)
写真にもあるように冬期になり、気温が下がると葉色が紫色に変化(左写真)する数少ない種類。樹形と葉色が人気で高価。同サイズのエレファンティペスに比べ価格は2~3倍程度です。
生長が遅いため大きいものになると入手は困難。寒さには大変強く-10℃まで耐えますので、屋外に置くならオススメの種類と言えるでしょう。
2.存在感バツグン!希少価値の高いユッカ9選
ここでは、希少価値が高く、金額も高価ですが、頑張って手に入れるだけの価値があるような希少種を紹介します。時々園芸店で販売しています。
2-1.ユッカ・アロイフォリア・マジナータ (Yucca aloifolia Marginata)
2-2.ユッカ・アロイフォリア・トリコロール (Yucca aloifolia Tricolor)
左の写真はユッカ・アロイフォリア・マジナータ。右がユッカ・アロイフォリア・トリコロールです。どちらもアロイフォリアの園芸品種です。同じ種でも細かな斑の入り方の違いで、たくさんの品種が存在しており、その違いが写真ではよく分かりませんね…。
耐寒温度は5℃と言われていますが。もっと耐寒性に優れているような気がします。
2-3.ユッカ・フィラメントーサ(Yucca filamentosa)
2-4.ユッカ・フィラメントーサ・カラーガード(Yucca filamentosa Color Guard)
左:ユッカ・フィラメントーサ。右:ユッカ・フィラメントーサ・カラーガード。
葉が擦れると糸状(フィラメント)の繊維が出てくる品種で、美しく観賞価値が高い個性的な品種。このような繊維が出て来る種類は他にもいくつか存在します。耐寒性はかなり強く-25℃と言われており、下の写真のように雪がつもっても平気です。
2-5.ユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)
ブルーグレーの葉色がとても美しく、株元から放射状に葉が広がる姿は芸術的でつい見入ってしまうほど。
希少で高価ですが、この存在感はこだわりのある人に最適でしょう。
エレファンティペスよりも非常に耐寒性に優れ、-10℃まで耐えることができます。
極端な乾燥にも耐えるため、ほっておいても育つ貴重な植物です。また生長が遅いのも特徴で、大きくするには時間がかかりますが、剪定などの手間がかからないという利点もあります。
下の写真はロストラータの現地の写真です。
ここまで大きくなるのに一体何十年かかったのでしょうか。
2-6.ユッカ・フィリフェラ(Yucca filifera)
こちらも葉に糸状のフィラメントが付くレアなユッカ。どっしりとした幹立ちが印象的で格好いいですね。耐寒温度は-15℃と言われています。庭植えにしてもインテリアプランツとして飾っても存在感バツグン!鋭くとがった葉先には注意しましょう。
2-7.ユッカ・リギダ(Yucca rigida)
別名「ブルー ユッカ」とも呼ばれ、シルバーブルーに輝く葉色がとても美しい品種です。
希少価値が高く、金額も高価。耐寒性は-12℃までと言われています。
2-8.キサントローエア オーストラリス(Xanthorrhoea australis)
別名ブラックボーイとして一般的に知られています。槍をもったアボリジニの少年のような姿からそう呼ばれるようになったそうですが、歴史への配慮のためか現在ではグラスツリーの別名で呼ばれることが多くなってきました。
生長が非常に遅いことで知られ、1年で2㎝程度しか伸びません。幹高1mで約40~50年ほどかかるため非常に高価です。尚、高さが幹高程度の株で10~15万円程度します。
2-9.ユッカ・エンドリッキアーナ(Yucca endlichiana)
メキシコ、テキサス州に生息する珍しい姿のユッカ。国内流通が非常に少なく、たまにインターネット販売で見かける程度。こちらも非常に生長が遅く、一年で葉が1~2枚展開する程度とか。右の写真のような群生まで一体何十年かかったのやら...
3.国内にほとんど出回らないマニアックなユッカ10選
ここからは、ほとんど国内流通がなく、よほどのマニアな方や一部の業者さんしか目にすることがない種類です。
原産地では割と普通に生えているものも多いのですが、国内に入ってこない・生長が非常に遅いため、希少価値が高く金額も高価です。人生のうちで一度もお目にかからないことの方が多いでしょうが、「こんなのもあるんだ」ぐらいでご覧ください。
3-1.ユッカ・トンプソニアーナ(Yucca thompsoniana)
少しシルバーがかった葉色でロストラータによく似た品種。ロストラータよりも希少な品種で、かなりマニアックなユッカです。耐寒温度は-18℃とのこと。
このように雪が積もっても常緑を維持しています。
3-2.ユッカ・エラータ(Yucca elata)
葉に糸状のフィラメントがでる美しいユッカ。北アメリカの南西部、アリゾナ州からニューメキシコ州、テキサス州西部それにメキシコ北部に分布しています。根にはサポニンが含まれているため、先住アメリカ人はせっけんやシャンプーの代用品として使っていたようです。国内流通はほぼなく、時々種を販売しているのを見かける程度です。
3-3.ユッカ・ベイレイ(Yucca baileyi)
ナバホユッカ、アルパインユッカとも呼ばれるレアなユッカです。細く硬いブルーグリーンの葉が球形に仕上がるのが特徴で、アガぺの吹上げに似ています。こちらもエラータのようにシャープな葉から糸状のフィラメントが出て美しい。
国内での流通はほぼ皆無です。
3-4.ユッカ・トレクレアナ(Yucca treculeana)
別名スパニッシュダガーと呼ばれる西部テキサスの標高1200m級の高山地帯に生息するユッカ。銀青色の葉が美しく、鋭くとがった葉をダイナミックに広げます。寒さも-17℃まで耐える強健な性質を持っています。こちらも国内流通はほとんど見かけません。
3-5.ペリクローサ(Yucca periculosa)
メキシコの高山地帯に生息する貴重なユッカ。こちらも葉から糸状のフィラメントが出ます。耐寒性は―9℃で屋外越冬も可能ですが、国内流通はほぼ見かけません。
3-6.カエスピトーサ(Yucca whipplei var. caespitosa)
灰緑色の葉が非常に美しいユッカ。アメリカアリゾナ州、カリフォルニア州の乾燥地帯に分布するユッカで標高2500mの岩盤の斜面に生息しています。
3-7.ユッカ・トレリー(Yucca torreyi)
刀剣状の鋭く長い葉が特徴で、葉色が灰緑色~銀青色で美しい。約3mまでの中木サイズで、現地では葉からとれる繊維を原料に、かご細工、布、マット、ロープなどが作られています。
3-8.ユッカ・ハリマニアエ(Yucca harrimaniae)
緑青色の葉が美しいユッカ。ユタ州、ネバダ州、コロラド州、北東部アリゾナ州、北部ニューメキシコ州の標高1000~2700mの高山地帯に生息する希少種。葉からフィラメントがでる種類で、アガぺの笹の雪や乱れ雪によく似た姿をしています。
3-9.ユッカ・ナナ(Yucca nana)
非常に珍しいユッカ。鋭い葉から無数のフィラメント繊維をもち、ユタ州の高山地帯という限定された場所に生息しています。絶滅危惧種として保護されているため基本的に入手はできません…
3-10.ユッカ・バッカタ(Yucca baccata)
バナナユッカの名称で知られる希少種で、果実がバナナに似ているためこの名前がつきました。果実はナバホ人の伝統的な食べ物として知られていますが、根にはサポニンが含まれている為人体には有毒で、代わりにせっけんやシャンプーとして用いられています。
標高2500mの岩盤斜面に生息し、アメリカテキサス州、カリフォルニア州、メキシコ、コロラド州に分布しています。
成長は非常に遅く、国内流通がほぼないためこちらも入手は困難ですが、ときどき種が販売されています。
4.まとめ
ここまで、一般的なユッカからレアなユッカまで紹介してきました。普段目にすることがないユッカもあったのではないでしょうか。
希少価値の高いユッカを見て、つい欲しくなった方はコレクターの素質があります!さっそくインターネットで検索して、ぜひ手に入れてください。ただし金額を見て驚かないように。
尚、一般的なユッカを含む育て方や、飾り方などを詳しく知りたい方は見とれるほどの美しさ!個性的なユッカの仲間とセンス抜群な飾り方をご覧ください。
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